この記事でわかること
  • マーケティングフレームワークの重要性となぜ使うのか
  • 戦略プロセス全体像(環境分析、戦略立案、施策実行)
  • 【環境分析】で使う基本フレームワーク4選(PEST, 3C, 5フォース, SWOT)
  • 【戦略立案】で使う基本フレームワーク2選(STP, AISAS)
  • 【施策実行】で使う基本フレームワーク2選(4P, 4C)
  • 【BtoB特化】で使うフレームワーク2選(The Model, ABM)
  • フレームワークを実践でうまく活用するコツと注意点

「マーケティングの勉強を始めたけど、3C分析とかSWOTとか、横文字が多くてよく分からない…」

「フレームワークって、本当に実務で役立つの?どう使えばいいの?」

マーケティングの世界に足を踏み入れると、誰もが一度は「フレームワーク」という言葉の壁にぶつかります。まるで難解なパズルのように感じられ、覚えるだけで精一杯になってしまう方も少なくありません。

しかし、もしあなたが大海原を航海する船長だとしたらどうでしょう?闇雲に船を進めるのではなく、「羅針盤(コンパス)」で方角を確認し、「海図(チャート)」で現在地と目的地を把握するはずです。マーケティングにおけるフレームワークは、まさにこの羅針盤や海図の役割を果たします。

TSRコンサルティングが企業の戦略立案をご支援する際も、必ずこれらのフレームワークを活用します。なぜなら、フレームワークは単なる知識ではなく、複雑な市場環境を整理し、思考の抜け漏れを防ぎ、チーム全員が同じ地図を見て議論するための「共通言語」となる、極めて実践的なツールだからです。

この記事では、数あるマーケティングフレームワークの中から、未経験者や学習を始めたばかりの方が「これだけは押さえておくべき」と断言できる基本の10個を厳選しました。それぞれのフレームワークが「航海のどの段階で役立つのか」という活用シーンと共に、その使い方を分かりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたはマーケティング戦略の全体像を俯瞰し、自信を持って航海計画(=戦略立案)を立てられるようになっているでしょう。


なぜフレームワークが重要か

フレームワークは、複雑な状況を整理する「思考の型」であり、チームの「共通言語」として機能します。これにより、勘や経験だけに頼らない、論理的でスピーディな意思決定が可能になります。

思考の「型」を手に入れる

マーケティングの現場では、日々膨大な情報に晒され、複雑な意思決定を迫られます。フレームワークは、このような混沌とした状況で思考を整理し、論理的に結論を導き出すための「型」を提供してくれます。

  • 抜け漏れや重複を防ぐ: 「何について考えるべきか」がチェックリストのように明確になり、思考の抜け漏れや重複を防ぐことができます。
  • 思考のスピードを上げる: 何から考え始めれば良いかが明確になり、ゼロから考えるよりも迅速に意思決定が可能になります。
  • 客観的な分析ができる: 個人の勘や経験だけに頼るのではなく、データや事実に基づいた客観的な判断を下す助けとなります。

チームの「共通言語」になる

マーケティングは、企画、営業、開発など、様々な部署と連携して進めるチーム戦です。フレームワークは、異なる背景を持つメンバー間での「共通言語」として機能します。

例えば、「今期の戦略について、SWOT分析の結果、我が社の強み(Strength)は〇〇で、市場の機会(Opportunity)は△△なので、この二つを掛け合わせた戦略を取りましょう」と説明すれば、チーム全員が同じ前提で、建設的な議論を進めることができます。

これは、TSRコンサルティングが重視する「現場と経営層の目線を合わせて組織としてマーケティング戦略を推進する」上でも不可欠な要素です。


マーケティングプロセスと全体像

マーケティング活動は「環境分析」「戦略立案」「施策実行」という流れで進みます。フレームワークは各プロセスで活用され、思考をスムーズに繋げる役割を果たします。

この全体像を理解することで、各フレームワークが「いつ」「何のために」使われるのかが明確になります。

「環境分析」→「戦略立案」→「施策実行」

マーケティング活動のプロセスは、大きく3つのステップに分けられます。フレームワークは、このステップを順番に進めるための道しるべとなります。

プロセス目的主なフレームワーク
1. 環境分析自社を取り巻く状況を正確に把握する(=現在地を知るPEST分析, 3C分析, 5フォース分析, SWOT分析
2. 戦略立案誰に、何を、どのようにして売るかを決める(=航路を定めるSTP分析, AIDMA/AISAS
3. 施策実行具体的なアクションプランに落とし込む(=具体的な打ち手4P分析, 4C分析

この記事では、このプロセスに沿って、基本となるフレームワークを解説していきます。


環境分析のフレームワーク4選

戦略を立てる前に、まずは自社の「現在地」を知る必要があります。ここでは、世の中の動向から業界構造、競合、自社までを客観的に分析する4つの手法を解説します。

1. PEST分析(マクロ環境の把握)

PEST分析は、自社ではコントロールできないマクロ環境(世の中全体の大きな流れ)が、自社のビジネスにどのような影響を与えるかを分析するためのフレームワークです。

  • Politics(政治): 法律の改正(例:個人情報保護法の強化)、税制の変更、政権交代、国際情勢など。
  • Economy(経済): 景気の動向、物価、金利、為替レート、原油価格など。
  • Society(社会): 人口動態の変化(例:高齢化)、ライフスタイルの変化(例:エコ意識の高まり)、流行、教育水準など。
  • Technology(技術): 新技術の登場(例:AI、ブロックチェーン)、特許、ITインフラの進展など。

活用シーン:

新規事業の立ち上げや、海外進出を検討する際に、中長期的な視点で市場の将来性やリスクを予測するために用います。例えば、「高齢化(Society)が進むから、シニア向けの健康サービス市場には機会(Opportunity)がある」といった仮説を立てるきっかけになります。

2. 3C分析(事業成功要因の発見)

3C分析は、事業の成功に不可欠な3つの要素を分析し、成功要因(KSF: Key Success Factor)を見つけ出すための、マーケティング分析の基本中の基本となるフレームワークです。

  • Customer(市場・顧客): 市場規模はどれくらいか? 成長しているか、縮小しているか? 顧客が本当に求めているニーズは何か? 購買決定のプロセスは?
  • Competitor(競合): 競合は具体的に誰か? 競合の強み・弱みは何か? 競合がどのような戦略を取っているか?
  • Company(自社): 自社の強み・弱みは何か? 経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)はどれくらいあるか? 自社の企業理念やビジョンは?

活用シーン:

あらゆるマーケティング戦略を立てる上でのスタート地点となります。自社の立ち位置を客観的に把握し、「競合にはなくて、顧客が求めている、自社の強み」を発見することが、事業の方向性を決定する上で極めて重要です。

太田高寛

3C分析、特にCustomer(顧客)分析の質が、戦略の成否を分けると言っても過言ではありません。私たちは、単なるアンケートではなく、「意味ある1次情報」になるよう設計されたアンケート設計ノウハウや、社内の誰もがハイクオリティのインタビューができるインタビュー設計ノウハウを駆使して、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを掘り起こします。この深い顧客理解こそが、自社が気づいていない競争優位の源泉(USP)の可視化に繋がるのです。

3. 5フォース分析(業界の魅力度測定)

5フォース(Five Forces)分析は、経営学者のマイケル・ポーターが提唱した、その業界の収益性(儲かりやすさ)を分析するためのフレームワークです。5つの競争要因(脅威=Force)から、業界の構造を分析します。

  1. 業界内の競合: 業界内に競合他社がどれくらい存在し、どれくらい激しく競争しているか。
  2. 新規参入の脅威: 新しいプレイヤーがその業界に参入しやすいか、しにくいか(参入障壁は高いか、低いか)。
  3. 代替品の脅威: 自社製品の代わりになるような、異なるカテゴリーの製品・サービスは存在するか。
  4. 買い手の交渉力: 顧客(買い手)の立場が強く、価格交渉などをされやすいか。
  5. 売り手の交渉力: 原材料などの供給業者(売り手)の立場が強く、仕入れ価格をコントロールされやすいか。

活用シーン:

自社が属する業界の魅力度を測ったり、新規参入を検討している業界の将来性や収益性を分析したりする際に用います。5つの脅威がすべて強ければ「儲かりにくい業界」、弱ければ「儲かりやすい業界」と判断できます。

4. SWOT分析(戦略オプションの創出)

SWOT(スウォット)分析は、3C分析などで洗い出した内部環境(自社)と外部環境(市場・競合)を、「プラス要因」と「マイナス要因」に分けて整理し、戦略の方向性を検討するためのフレームワークです。

  • 内部環境:
    • Strength(強み): 自社の持つ独自の技術力、ブランド力、優秀な人材など。
    • Weakness(弱み): 自社の抱える課題、リソース不足、ブランド力の低さなど。
  • 外部環境:
    • Opportunity(機会): 市場の成長、規制緩和、競合の撤退、新技術の登場など。
    • Threat(脅威): 市場の縮小、規制強化、競合の参入、景気後退など。

活用シーン:

分析結果を出すだけでなく、「強み × 機会」で事業を拡大したり、「弱み × 脅威」から撤退を検討したりするなど、具体的な戦略オプションを導き出す(クロスSWOT分析)際に用います。

詳しくはSWOT分析の正しい手順と事業戦略への活かし方で解説しています。


戦略立案のフレームワーク2選

現在地が分かったら、次は「誰に、どのような価値を届けるか」という戦略の核を定めます。ここでは、ターゲットを絞り込み、顧客の心理プロセスを理解する2つの手法を紹介します。

5. STP分析(市場機会の発見とターゲット決定)

STP分析は、「誰に、どのような価値を提供するか」を明確にするための、戦略立案の核となる非常に重要なフレームワークです。

  • Segmentation(セグメンテーション): 市場全体を、年齢、性別、地域、ニーズ、価値観(サイコグラフィック)などの共通項でグループ分け(細分化)します。
  • Targeting(ターゲティング): 細分化したグループの中から、最も魅力的な市場(自社の強みを活かせる市場)を狙うターゲットとして選定します。
  • Positioning(ポジショニング): ターゲット顧客の心(認識)の中で、競合製品と比べて自社製品がどのような独自の立ち位置にあるかを明確にします。(例:「高品質・高価格」「低価格・手軽さ」など)

活用シーン:

新製品を投入する市場を決めたり、既存製品の新たな顧客層を開拓したりする際に用います。この分析の精度が、その後のマーケティング活動全体の成否を左右します。「すべての人」をターゲットにするのは、「誰にも刺さらない」戦略と同じです。STP分析によって、自社の貴重なリソースをどこに集中させるべきかを決定します。

詳しくはSTP分析の具体的なやり方と事例|ターゲティング成功の鍵で解説しています。

太田高寛

STP分析は、まさにTSRコンサルティングが最も得意とする「WHO-WHAT(誰に、どんな価値を)」の設計そのものです。特にセグメンテーションでは、年齢や性別といった単純な切り口ではなく、「サイコグラフィック(心理的要因)」でユーザー層をセグメントし、他社には見えていない独自のターゲットを発見するノウハウを持っています。このターゲティング設計の精度こそが、競争優位の源泉となります。

6. AIDMA(アイドマ) / AISAS(アイサス)

これらは、顧客が製品を認知してから購入に至るまでの心理的なプロセスをモデル化したフレームワークです。顧客が今どの段階にいるかに合わせて、最適なアプローチを考えるために用います。

  • AIDMA(アイドマ): 主にマスメディアが中心だった時代の伝統的なモデル。
    • Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)
  • AISAS(アイサス): インターネット普及後の現代的なモデル。
    • Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)

活用シーン:

現代のマーケティングでは、顧客が「Search(検索)」し、購入後に「Share(共有)」することを前提に戦略を立てる必要があります。AISASモデルは、カスタマージャーニーマップ(顧客の行動プロセスを図式化したもの)を作成し、顧客の各行動段階で「どのような情報を提供すべきか(例:Search段階ではSEO記事)」「どのチャネルで接触すべきか(例:Share段階ではSNS)」といったコミュニケーション戦略を設計する際に用います。


施策実行のフレームワーク2選

戦略が決まったら、それを具体的なアクションプランに落とし込みます。ここでは、企業視点と顧客視点の両方から、最適な施策の組み合わせを考える2つの手法を解説します。

7. 4P分析(マーケティングミックス)

4P分析は、STP分析で定めた戦略を実行するための具体的な要素を検討するフレームワークです。企業側(売り手)の視点から、コントロール可能な4つの「P」を最適に組み合わせる(ミックスする)ことで、戦略の効果を最大化します。

  • Product(製品戦略): どんな製品・サービスを提供するか? 品質、デザイン、ブランド、パッケージは?
  • Price(価格戦略): いくらで販売するか? 競合と比較して高いか安いか? 割引は?
  • Place(流通戦略): どこで、どのようにして販売するか?(例:コンビニ、デパート、ECサイト)
  • Promotion(販促戦略): どのようにして顧客に知らせ、購買を促すか?(例:広告、SNS、イベント)

活用シーン:

戦略立案の最終段階で、具体的なアクションプランを策定する際に用います。「高級志向の製品(Product)なのに、価格が安すぎ(Price)、ディスカウントストアで売られ(Place)、安売りのチラシで宣伝(Promotion)している」といった矛盾がないよう、4つのPに一貫性を持たせることが非常に重要です。

詳しくは4P戦略(マーケティングミックス)とは?製品・価格・流通・販促の組み合わせ方で解説しています。

8. 4C分析

4C分析は、4P分析を顧客側(買い手)の視点から捉え直したフレームワークです。顧客中心のマーケティングが主流となる現代において、4Pとセットで考えることが不可欠です。

  • Customer Value(顧客価値): 顧客にとっての価値は何か? (← Product)
  • Cost(顧客コスト): 顧客が支払うコスト(金銭だけでなく、時間や労力も含む)は? (← Price)
  • Convenience(利便性): 顧客にとっての入手しやすさは?(例:24時間いつでも買える) (← Place)
  • Communication(コミュニケーション): 顧客との双方向の対話は?(例:SNSでの交流) (← Promotion)

活用シーン:

4Pで考えた施策が、「企業(売り手)の独りよがりになっていないか」「顧客(買い手)にとって本当に価値があるものか」を検証するために用います。常にこの顧客視点を持つことが、マーケティング成功の鍵となります。


BtoB特化のフレームワーク2選

BtoB(企業間取引)マーケティングは、検討期間が長く、複数の意思決定者が関わる特徴があります。ここでは、BtoBに特化した2つのモデルを紹介します。

9. The Model(ザ・モデル)

The Modelは、米国のSaaS企業であるSalesforce(セールスフォース)が提唱・実践した、マーケティング部門と営業部門が連携し、顧客獲得から育成、商談、そして顧客の成功までを分業体制で効率的に行うためのプロセスモデルです。

  1. Marketing(マーケティング): 見込み客(リード)を獲得する。
  2. Inside Sales(インサイドセールス): 獲得したリードに電話やメールでアプローチし、購買意欲を高め(ナーチャリング)、商談機会を創出する。
  3. Field Sales(フィールドセールス): 商談を行い、契約を獲得(クロージング)する。
  4. Customer Success(カスタマーサクセス): 契約後の顧客を支援し、製品の活用を促進し、継続利用やアップセルを促す。

活用シーン:

BtoBビジネス、特にSaaS企業などで、営業プロセス全体を最適化したい場合に用います。各部門の役割とKPI(重要業績評価指標)を明確にし、MA(HubSpot, Marketo Engage)やSFA(Salesforce Sales Cloud)といったツールで顧客情報をシームレスに連携させることが成功の鍵です。

関連ツールはマーケティング活動に必須のツール比較:MA・SFAから無料ツールまで、選び方を解説で解説しています。

10. ABM(アカウントベースドマーケティング)

ABM(Account Based Marketing)は、不特定多数のリードを広く浅く狙うのではなく、自社にとって価値の高い特定の優良企業(アカウント)をターゲットとして定め、その企業(アカウント)に最適化されたアプローチを、マーケティング部門と営業部門が一体となって行うBtoBマーケティング戦略です。

活用シーン:

大口顧客をターゲットとする場合や、特定の業界に特化してアプローチしたい場合に有効です。ターゲット企業内の複数の意思決定者(担当者、課長、役員など)に対し、それぞれの役職に合わせたメッセージを一貫して送るなど、極めて戦略的なアプローチが求められます。


フレームワークの実践的な使い方

フレームワークは、個別に使うだけでなく、戦略のプロセスに沿って組み合わせて使うことで真価を発揮します。ここでは、その実践例と注意点を解説します。

組み合わせの例(新規事業立ち上げのケース)

フレームワークは、単独で使うのではなく、戦略のプロセスに沿ってリレーのように繋げていくことで、思考が深まり、強力な戦略が生まれます。

【新規事業立ち上げのケース】

  1. まずPEST分析で、「世の中の大きな流れ(例:エコ意識の高まり)」という機会を発見します。
  2. 次に3C分析で、「市場(エコ意識の高い層)」「競合(既存のエコ製品)」「自社(独自の再生技術)」の状況を把握します。
  3. その結果をSWOT分析で整理し、「自社の強み(再生技術) × 市場の機会(エコ意識の高まり)」という戦略の方向性を決定します。
  4. STP分析で、エコ意識の高い層をさらに細分化し、「価格よりもデザイン性を重視する30代女性」をターゲットに設定し、「高機能でおしゃれなエコ製品」というポジショニングを確立します。
  5. 最後に4P/4C分析で、具体的な製品デザイン、価格、販売チャネル(例:おしゃれな雑貨屋、ECサイト)、販促(例:Instagram)を決定します。

このように、分析から戦略、そして実行へと、思考をスムーズに繋げていくことができます。

失敗しないための注意点

  • フレームワークを「埋めること」が目的にならない:分析は、あくまで「次のアクション(意思決定)」のために行うものです。分析結果から「So What?(だから何?)」「Now What?(で、どうする?)」を常に自問自答し、具体的な戦略や施策に繋げることを意識してください。
  • 「思い込み」で分析しない:フレームワークの精度は、インプットされる情報の質と量に依存します。思い込みや希望的観測で分析せず、客観的なデータや一次情報(顧客へのインタビュー、アンケート結果など)に基づいて行いましょう。
太田高寛

分析結果を基に戦略を実行に移す際、「現場(営業)と経営層の目線が合わない」ことは非常によく起こります。フレームワークは、こうした「関係者との合意形成」を図るための「共通言語」としても非常に強力です。TSRコンサルティングでは、このプロジェクトマネジメントノウハウを駆使し、分析から実行までをスムーズに推進するご支援を得意としています。

まとめ

この記事では、マーケティング戦略に不可欠な10個の基本フレームワークを、その活用シーンと共に解説しました。

  • フレームワークは、思考を整理し、抜け漏れを防ぎ、チームの共通言語となる「思考のツール」です。
  • マーケティングのプロセスは「環境分析」→「戦略立案」→「施策実行」に大別され、各段階で適切なフレームワークを活用します。
    • 環境分析: PEST分析, 3C分析, 5フォース分析, SWOT分析
    • 戦略立案: STP分析, AIDMA/AISAS
    • 施策実行: 4P分析, 4C分析
    • BtoB特化: The Model, ABM
  • フレームワークは、組み合わせて使うこと、そして分析で終わらせずに「意思決定」に繋げることが重要です。

これらのフレームワークは、一度学べば、マーケターとしてのキャリアを通じてあなたを支え続ける強力な武器となります。まずは身の回りにある製品やサービスを、これらのフレームワークに当てはめて分析する練習から始めてみてください。そうすることで、世界はこれまでと全く違って見えてくるはずです。


FAQ

たくさんありすぎて、どのフレームワークから学ぶべきか分かりません。

まずは、マーケティング戦略の根幹をなす「3C分析」「STP分析」「4P分析」の3つを徹底的に理解することをおすすめします。この3つは相互に関連しており、「3Cで現在地を把握し、STPで進むべき道(ターゲット)を定め、4Pで具体的な進み方(施策)を決める」というマーケティング戦略の王道の流れを体現しています。これらを使いこなせれば、基本的な戦略立案は可能です。

フレームワークを使っても、良いアイデアや戦略が思いつきません。なぜでしょうか?

考えられる原因は2つあります。一つは、インプットされる情報の質が低いことです。特に3C分析のCustomer(顧客)やCompetitor(競合)の情報が、インターネットで調べた二次情報だけになっていませんか?顧客への直接のインタビューやアンケートで「一次情報」を取りに行くことで、分析の質は劇的に向上します。もう一つは、分析で満足してしまっているケースです。分析結果から「つまり、何をすべきか?」というアクションに繋げる思考訓練が必要です。

BtoBとBtoCで、フレームワークの使い方は変わりますか?

3CやSTP、SWOTといった基本的なフレームワークの考え方自体は、BtoBでもBtoCでも変わりません。しかし、分析する際の中身が大きく異なります。例えば、BtoCの「Customer」は個人ですが、BtoBでは「企業」であり、購買決定には複数の部署や役職者が関わります。また、BtoBではThe ModelやABMといった、より組織的な連携を前提としたフレームワークが重要になります。