インナーブランディングの成功事例を探している人事・広報担当者の皆さま、「時間とコストをかけて立派な理念や動画を作ったのに、社員の行動が変わらない」という悩みを抱えていませんか?

理念やビジョンは、作ることよりも「どう届け、どう日常の行動に落とし込むか」が全てです。

私は以前、中期経営計画に合わせて理念動画の制作とTUNAGでの全社浸透を担当しました。その経験から、単なる視聴率で終わらせず、社員一人ひとりの「生きた理念」として定着させることに成功しました。

この記事では、理念浸透に最適なTUNAGの活用法と、私が実際に経験した「失敗談と成功への心構え」を全て公開します。インナーブランディングを次のステップに進めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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目次
  1. 1. 理念浸透の鍵は「トップダウンと共感」
    1. 理念動画に込めた成功の方程式
    2. 理念を「自分ごと化」するTUNAGの役割
  2. 2. 理念動画を「生かす」TUNAG連携ノウハウ
    1. 施策1:理念要素を日報制度に強制的に組み込む
    2. 施策2:サンクスカードの「裏テーマ」に理念を忍ばせる
    3. 施策3:動画を分割し、理念の解釈を促す
  3. 3. 元ユーザーが語る!理念浸透の「失敗談」と反省点
    1. 失敗談:熱が冷めた「公開のタイムラグ」
    2. 教訓:事前告知の徹底で熱狂を維持する
  4. 4. 理念浸透を成功させる「3つの重要な心構え」
    1. 心構え1:発信側の「情熱と粘り強さ」
    2. 心構え2:上位層の「理解度」を優先的に高める
    3. 心構え3:理念を「考える場」を意図的に提供する
  5. 5. 成功の鍵は設計!ワークシートで実現
    1. 【最重要】失敗しないTUNAG運用の鍵は「設計」にあり
    2. ワークシートだけでは不安な方へ:元ユーザーによる個別アドバイス(無料)
  6. まとめ
  7. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 理念動画の制作期間とコストはどれくらいでしたか?
    2. Q2. 理念浸透の施策は、どの部署が主導すべきですか?
    3. Q3. 理念浸透の状況を、TUNAGでどのように効果測定しましたか?
    4. Q4. 理念動画を公開した後、社員から否定的な意見が出た場合の対応はどうすべきですか?
    5. Q5. 理念浸透のために、上位層にだけ別の動画を見せるのはなぜですか?

1. 理念浸透の鍵は「トップダウンと共感」

理念動画に込めた成功の方程式

私たちが理念動画を作成した目的は、「中期経営計画」の発表と同時に「理念の再定義と全社員への浸透」を図ることでした。単なる理念の説明ではなく、社員の心に響くコンテンツにするため、以下の二つの要素を融合させることにこだわりました。

  1. トップダウンの「想い」: 経営層がなぜ、どんな未来を目指して理念を再定義したのかという熱い「想い」を伝える。
  2. ボトムアップの「共感」: 理念が現場でどのように体現されているか、社員一人ひとりの声や行動をメインコンテンツとして盛り込む。

この「想いと共感の融合」により、社員は「会社からの押し付け」ではなく、「自分たちが体現すべきもの」として理念を捉えられるようになりました。

理念動画制作についてはこちらでもお話しています。合わせてご覧ください

理念を「自分ごと化」するTUNAGの役割

TUNAGは、この理念浸透のサイクルを「日常業務」に落とし込むための最高のプラットフォームでした。

  • 単なる視聴で終わらせない: 理念動画を全社に公開するだけでなく、日報やサンクスカードの制度と連携させることで、社員が理念を「使う」「考える」機会を強制的に増やしました。
  • 双方向の解釈を可視化: 理念に関する「コメント」機能を活用し、社員が動画に対する解釈や質問を投稿する場を提供。これにより、一方的な情報伝達ではなく、相互に理解し合うプロセスが生まれました。
太田高寛

良い理念コンテンツは、熱意が冷めないうちに届けることが重要です。公開直後の社員の熱量を逃さないための「届け方」こそ、運用担当者の腕の見せ所です。

2. 理念動画を「生かす」TUNAG連携ノウハウ

施策1:理念要素を日報制度に強制的に組み込む

理念浸透の失敗原因の多くは、理念と日常業務が分離していることです。

  • 具体的な施策: 理念の核となる要素(例:「挑戦」「お客様第一」など)を分解し、TUNAGの日報制度の必須入力項目チェックリストに組み込みました。
  • 効果: 社員は日報を書くたびに「今日の自分の業務行動は、この理念に沿っていたか?」を意識せざるを得なくなります。これにより、理念が単なる言葉ではなく、「業務遂行のための行動指針」として定着しました。

施策2:サンクスカードの「裏テーマ」に理念を忍ばせる

サンクスカードを理念浸透のツールとして活用する企業は多いですが、私たちは一歩踏み込みました。

  • 具体的な施策:理念の中に「讃えあう」といった文脈があったため賞賛文化を強固にする施策としてサンクスカードを利用するキャンペーンを実施しました。ただのキャンペーンではなく、その時の営業活動と連動したビンゴ企画でした。営業社員は社員に対してTUNAGでサンクスカードを贈るとビンゴのマスが1つ空き、営業活動も頑張ればリーチやビンゴになりご褒美がもらえるといった全社を巻き込んだ企画です。
  • 効果: 営業社員は他の社員の行動を日頃からよく気づくようになり、何気ない小さな行動に感謝を持てる社員が増えました。また、このサンクスカードがTUNAG上で飛び交うことで相手に対する気遣いやさりげない支援の行動が増えると同時に、サンクスカードの内容が変化していきました。理念の中にある「成長」に関する文脈に触れた「〇〇さんの今日のこの行動は、まさに『成長』の理念体現だったと思います。身近で見て良い刺激を頂きました。ありがとうございます!」といった具合に、「どんな行動が理念に紐づいた行動か」を自分なりに持ちながら他社員の行動を見れるようになっていました。理念が「他人事」から「具体的な行動」へと変わっていきました。

施策3:動画を分割し、理念の解釈を促す

長い理念動画を一斉視聴で終わらせることは、情報が流れてしまう原因になります。

  • 具体的な施策: 理念動画を閲覧した方の感想インタビューや理念動画のキャストの方のインタビューなど理念動画本編以外のサブコンテンツを用意し、TUNAGで発信しました。
  • 運用上の工夫: あえてサブコンテンツは最初に多数作ったのにも関わらず、理念動画本編公開から期間を開けて小出しにしました。最初から理念を日々意識出来るものではないため、理念動画をきっかけに向き合おうとした社員に定期的に理念について再認識させるための武器として、サブコンテンツを小出しにしていくという工夫をしました。継続的に理念と向き合う機会をつくることで社員の「自分ごと化」を深く促しました。

3. 元ユーザーが語る!理念浸透の「失敗談」と反省点

理念浸透を成功させるためには、失敗から学ぶことが不可欠です。私が実際に経験した「鉄は熱いうちに打て」の失敗談と、その教訓をお伝えします。

失敗談:熱が冷めた「公開のタイムラグ」

最も反省しているのは、理念動画のお披露目のタイミングと、TUNAGでの公開タイミングがずれてしまったことです。

  • 出来事: 社員総会で理念動画を初公開した際にいままではまったく違い全員がシーンと静かに動画を見終わって考えて余韻に浸っているような状況がおきました。私はそれをみて、「理念を自分事化しようとしたり、理念ってこういうことかなと考えるような反応」だと確信しました。理念動画をきっかけに社員に理念を浸透させるスタートして最高の状況だったため、すぐに再度動画を見せてより深く考えてもらう状況をつくろうと思いました。しかし、すぐにTUNAGで発信・公開する事前の段取り(WEBサイトへの掲載調整など)が遅れてしまい、実際に全社に通知できたのは1週間後になってしまいました。
  • 結果: 動画公開の直後にあった社員の熱量や興奮は、1週間でやや冷めてしまいました。「鉄は熱いうちに打て」とはまさにこのこと。人の感情を動かすコンテンツは、届け方や届けるタイミング次第で効果が倍にも3倍にも膨れあがることを痛感しました。

教訓:事前告知の徹底で熱狂を維持する

  • 教訓: 「理念公開=全社の一大イベント」と捉え、TUNAGでの事前告知を徹底すべきでした。例えば、「〇〇日〇時に、社員総会で公開された理念動画を、TUNAGで限定配信します!」と告知するだけでも、公開時の熱狂を維持できたはずです。
太田高寛

運用担当者は、コンテンツの「質」だけでなく、「タイミング」と「熱意」という感情的な要素にも、徹底的にこだわる必要があります。事前準備で公開導線まで完璧にしておくことが重要です。


4. 理念浸透を成功させる「3つの重要な心構え」

「いいものができれば伝わる」という考えは早々に捨て、粘り強く情熱を持って伝えるという前提を持つことが成功の絶対条件です。特に重要な3つの心構えを紹介します。

心構え1:発信側の「情熱と粘り強さ」

  • 現実: 理念浸透施策は、経営層からのダメ出しや、否定的な社員からのネガティブな意見に晒されることも多くあります。目の前の数字責任が報酬に直結する役員からすると理念浸透という中長期のかつ成果が直接紐づけれれない活動に時間やお金を割きたくないからです。社員にしても、理念等抽象的で正解がないものを最初から素直に受け止める方は到底難しいのです。
  • 必要なこと: 発信する側の社内担当者が、強烈な理念への自信を持ち、「ブレずに発信し続ける覚悟」を持つことです。1回、2回では絶対に受け入れてもらえません。ロジカルに伝えようとするのも机上の空論になりがちです。正しさだけでなく、情熱と熱意で愚直に続ける、こうありたいんだというビジョナリーの姿勢こそが、最終的には社員の心を動かしていきます。

心構え2:上位層の「理解度」を優先的に高める

上司が理念を体現していない会社は、絶対に部下が理念を体現しません。

  • 必要なこと: 全員に浸透させる前に、まず上位層の理解を徹底的に高めることが優先です。特に役員が複数名いる場合は役員が実践できるように社内の根回しをする必要があります。
    • 具体的な施策: 上位層向けの理念動画を別途見せる、「自分なりの理念に対する考え」を整理する場を設けるなど、上位層を強力な理念体現者にすることが不可欠です。代表など1名見方につけ、ここはTOPDOWNで徹底してもらいましょう。
太田高寛

TUNAG利用企業の多くは、トップメッセージといったような取り組みをされていると聞きました。トップの経営層の発信はとても影響力が大きいので上から理念浸透に前のめりにさせる鉄板の取り組みのようです。

心構え3:理念を「考える場」を意図的に提供する

社員に対して、理念をもっと身近に感じてもらうためには、受け身の情報提供だけでなく、「参加と内省の場」が必要です。

  • 必要なこと: 理念を「自分ごと化」するための場(分科会やワークショップなど)を意図的に設けることです。
    • 活用例: タウンホールミーティング(全社集会)で理念に関するディスカッションの場を設け、その議事録や議論の様子をTUNAGの掲示板で共有し、参加できなかった社員も議論の熱量に触れられるようにしました。

5. 成功の鍵は設計!ワークシートで実現

【最重要】失敗しないTUNAG運用の鍵は「設計」にあり

本記事で触れたように、TUNAGはカスタマイズ性が高いからこそ、「貴社に最適な機能の組み合わせや運用ルール」は個別具体的なものになります。この設計を誤ると、ツールはすぐに使われなくなってしまうという現実があります。

あなたの会社が持つ具体的な組織課題に合わせた最適な導入ステップや、失敗しないための運用設計のフレームワークを知ることが、成功への最短ルートです。

そこで、私がエンゲージメントアワードのワークショップで得た知見と、前職での運用ノウハウを凝縮した『TUNAG導入成功への第一歩ワークシート』をご用意しました。このシートを使えば、公式サイトの情報だけでは不安な「導入後の具体的な行動」を段階的に明確化できます。

まずはこちらのワークシートをダウンロードして、具体的な施策設計を始めてみてください。

ワークシートだけでは不安な方へ:元ユーザーによる個別アドバイス(無料)

ワークシートを埋めてみて「本当にこの設計で大丈夫か?」「自分の会社の課題に合わせた具体的なアドバイスが欲しい」と不安になった方は、最下部のお問い合わせフォームより、私に直接ご相談ください。

導入前でTUNAGからのサポートが得られない状況でいろいろ判断するのは大変だと思います。過去の欧入・運用経験の範囲ではありますが、利用者の先輩として、貴社専用の運用設計ブラッシュアップとTUNAG公式担当者への確実な連携を、責任をもってサポートいたします。


まとめ

本記事では、理念浸透を成功させるためのTUNAGの具体的な活用事例とノウハウをお届けしました。

理念浸透の成功は、「コンテンツ(理念動画)」の質と、それを「日常の行動に落とし込むTUNAGの運用設計」によって決まります。

  • 成功の鍵: 「上位層への理解徹底」や「熱意を冷まさないタイミングの設計」といった元ユーザーのリアルなノウハウ。
  • TUNAGの役割: 理念を日報やサンクスカードと連携させ、「生きた行動指針」に変えるプラットフォーム。

あなたの会社が持つ具体的な組織課題に合わせた最適な導入ステップや、失敗しないための運用設計のフレームワークを知ることが、成功への最短ルートです。


よくある質問(FAQ)

Q1. 理念動画の制作期間とコストはどれくらいでしたか?

制作期間については、企画から撮影、編集、納品まで約3〜4ヶ月を要しました。コストは制作内容や業者によりますが、企画意図を明確にした上で制作会社を選定することが重要です。重要なのはコストではなく、理念を「自分ごと化」させるためのコンテンツ設計です。TUNAGで公開する際は、長編よりも短編の動画コンテンツを意識することをおすすめします。

Q2. 理念浸透の施策は、どの部署が主導すべきですか?

理念浸透は、経営企画部門または人事部門が主導し、広報部門が発信を担う体制が理想的です。特にTUNAGでの運用は、人事制度や教育に深く関わるため、人事部門の関与が不可欠です。ただし、「経営層のコミットメント」が何よりも重要であり、トップダウンで推進する姿勢が欠かせません。

Q3. 理念浸透の状況を、TUNAGでどのように効果測定しましたか?

主に以下の指標で測定していました。

エンゲージメントスコア: 理念への共感度が盛り込まれたエンゲージメントサーベイ(従業員意識調査)の数値を定期的にチェックしていました。

コンテンツ閲覧率: 理念関連の動画や掲示板のログイン率・閲覧率

行動の変化: 理念に紐づくサンクスカードの件数や日報の投稿内容の変化(理念キーワードの使用頻度)。

Q4. 理念動画を公開した後、社員から否定的な意見が出た場合の対応はどうすべきですか?

否定的な意見は、理念を「自分ごと」として考えている証拠なので、むしろ歓迎すべきです。重要なのは、「一貫して熱意をもって対応する」ことです。TUNAGのコメント機能などを通じて、否定的な意見に対して誠実に返答し、建設的な議論に昇華させる場として活用しましょう。運用担当者がブレずに対応することで、かえって信頼が増します。

Q5. 理念浸透のために、上位層にだけ別の動画を見せるのはなぜですか?

上位層は、理念を「体現し、部下に指導する」立場にあるため、より深く、事業戦略と紐づけて理解してもらう必要があります。上位層向け動画では、理念と中長期の経営戦略を紐づけたメッセージや、現場で理念を体現するための具体的な行動事例を盛り込むことで、マネジメント層としての腹落ちを深めることができます。