- 大学でマーケティングを学ぶ「理論的・体系的」なメリットと、専門学校・スクールとの決定的な違い
- 経済学部、経営学部、商学部など、学部ごとのマーケティングアプローチの違いと選び方
- 4年間のカリキュラムの流れと、実務に活きるゼミナール活動の重要性
- 卒業後のキャリアパス(就職先)と、現場で即戦力として評価されるために必要なプラスアルファのスキル
- TSRコンサルティングが実践する、プロの現場で求められる「戦略的思考」と「リサーチ力」
「将来はマーケティングの仕事に就きたいけれど、大学で学ぶべきか、それとも専門学校やスクールの方が近道なのか?」
「経営学部と商学部、マーケティングを学ぶならどっちが良いの?」
マーケティングという職種の人気が高まる中で、このような進路の悩みを抱える方は非常に増えています。デジタル化が進み、誰でも手軽に情報発信ができるようになった今だからこそ、小手先のテクニックではない「本質的なマーケティング」を学ぶ場の重要性が高まっています。
大学でマーケティングを学ぶ最大の魅力は、単なるツールの使い方ではなく、ビジネスを成功に導くための「思考の土台」を4年間かけてじっくりと築ける点にあります。
この記事では、数多くの企業のマーケティング戦略を支援してきたTSRコンサルティングの視点から、大学でマーケティングを学ぶ意義、学部選びのポイント、そして卒業後のキャリア戦略までを徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたが選ぶべき進路が明確になり、将来市場価値の高いマーケターになるための第一歩を踏み出せるはずです。
大学で学ぶ「3つの本質的価値」
大学での学習は、即効性のあるテクニックではなく、変化の激しい時代でも陳腐化しない「思考のOS」をインストールする場です。体系的な理論、論理的思考力、そして多様な視点という3つの価値について解説します。
マーケティングの世界は変化が激しく、昨日使えたWeb広告の手法が今日は通じなくなることも日常茶飯事です。しかし、大学で学ぶことは、そうした流行り廃りに左右されない「普遍的な原理原則」です。
1. 体系化された理論の習得
大学では、フィリップ・コトラーやピーター・ドラッカーといった先人たちが築き上げたマーケティングの理論を体系的に学びます。「なぜ人は物を買うのか」「市場はどう動くのか」といったメカニズムを理解することで、表面的な現象に惑わされず、本質を見抜く力が養われます。
2. 論理的思考力(ロジカルシンキング)
レポート作成や論文執筆、ゼミでの議論を通じて、仮説を立て、データを集め、論理的に結論を導き出すトレーニングを繰り返します。これは、社会に出てから企画書を通したり、クライアントを説得したりする際の最強の武器になります。
3. 経営視点の獲得
マーケティングは経営の一部です。大学(特に商学部や経営学部)では、会計、財務、組織論なども合わせて学ぶため、マーケティング活動が企業の利益や経営戦略全体にどう貢献するかという「鳥の目(マクロな視点)」を持つことができます。

大学で学ぶ「理論」は、実務における「戦略設計」の土台になります。例えば、当社が提供するWHO-WHATを緻密に行い、会社としての顧客価値を可視化する戦略設計ノウハウも、大学で学ぶような基礎理論の応用です。理論を知っているからこそ、独自のUSP(強み)の可視化が可能になるのです。
学部選びの正解:商・経営・経済
「マーケティング学部」が存在する大学は増えていますが、多くの場合は「商学部」「経営学部」「経済学部」の中に設置されています。それぞれの学部で学べるマーケティングのアプローチの違いを解説します。
同じ「マーケティング」でも、どの学部で学ぶかによってアプローチの仕方が異なります。自分の興味関心に合わせて選ぶことが重要です。
1. 商学部:市場と流通の「現場」を学ぶ
商学部は、商品が生産者から消費者に届くまでの「交換」や「流通」のプロセスに焦点を当てます。
- 特徴: 小売、流通、広告、消費者行動など、実務に近い具体的なトピックを扱います。
- 向いている人: 具体的な商品の売り方や、店舗運営、プロモーション戦略に興味がある人。
2. 経営学部:組織と戦略の「管理」を学ぶ
経営学部は、企業という「組織」をどう運営し、成長させるかという視点でマーケティングを捉えます。
- 特徴: 経営戦略、組織マネジメント、人材管理とセットでマーケティングを学びます。
- 向いている人: 将来は起業したい、あるいは企業のマネジメント層やブランドマネージャーを目指したい人。
3. 経済学部:社会全体の「仕組み」を学ぶ
経済学部は、社会全体のお金の流れや、市場メカニズムの中で消費者がどう動くかを数理的に分析します。
- 特徴: ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学など、データや統計を用いた分析が中心です。
- 向いている人: データサイエンティストやマーケティングアナリストなど、数字に強いマーケターを目指す人。
4年間の学びとゼミ活動の重要性
大学の4年間は、基礎学習から応用、そして研究へと段階的に深まっていきます。特に3・4年次の「ゼミナール(ゼミ)」は、座学で得た知識を実践に変える重要な場です。
1〜2年次:基礎体力の養成
マーケティング概論、簿記、統計学、心理学などの基礎科目を履修します。ここで幅広い知識を吸収し、自分が特に興味のある専門分野(例:広告、ブランディング、消費者行動など)を見定めます。
3〜4年次:専門性の深化とゼミ活動
少人数のゼミに所属し、特定のテーマについて深く研究します。ここでの活動が、就職活動や将来のキャリアに直結します。
企業とのコラボレーション(産学連携)
多くのマーケティング系ゼミでは、企業と連携して新商品の企画やプロモーション提案を行うプロジェクトを実施しています。
- 実践例: 実際の企業から課題(例:若年層の認知拡大)をもらい、学生チームでリサーチ、企画、提案を行う。
リサーチスキルの習得
卒業論文やゼミの課題では、アンケート調査やインタビュー調査を行います。ここで学ぶ「正しいデータの集め方」は、プロになっても必須のスキルです。

学生時代のリサーチ経験は非常に貴重です。当社では、ターゲットユーザーを特定しづらいサイコグラフィック(心理的特性)でセグメントしたユーザー層だけのアンケートを低価格で取得するノウハウなどを持っていますが、その基礎となるのは「仮説を立て、検証する」という大学での研究プロセスそのものです。
専門学校・スクールとの決定的違い
「早く実務スキルを身につけたい」なら専門学校やWebスクールも選択肢に入ります。大学との最大の違いは「目的」と「時間軸」にあります。それぞれのメリット・デメリットを比較します。
学びの「深さ」と「広さ」の違い
- 大学:
- 目的: 「なぜ売れるのか」という原理原則を理解し、応用力を身につける。
- 期間: 4年間
- メリット: 大卒資格、幅広い教養、豊富な人脈、論理的思考力。
- デメリット: 実務的なツール操作(GA4や広告管理画面など)は授業で扱わないことが多い。
- 専門学校・Webスクール:
- 目的: 「どうやって売るか」という具体的な手法(Webデザイン、広告運用)を身につける。
- 期間: 数ヶ月〜2年
- メリット: 即戦力となる実務スキル、資格取得、短期間での習得。
- デメリット: 知識がツールや手法に偏りがちで、経営視点や戦略立案力が不足する場合がある。
「大卒」という資格の重み
マーケティング職、特に大手企業や事業会社の企画職を目指す場合、応募条件が「大卒以上」であることが多いのが現実です。将来のキャリアの選択肢を広げておきたいのであれば、大学進学が推奨されます。
卒業後の進路とキャリア戦略
マーケティングを学んだ学生の進路は多岐にわたります。広告代理店やメーカーだけでなく、IT企業やコンサルティングファームなど、活躍の場は広がっています。主な就職先と職種を紹介します。
1. 広告代理店・Webマーケティング支援会社
クライアント企業のマーケティング課題を解決するプロフェッショナルです。
- 職種: 営業、プランナー、Webコンサルタント、広告運用担当
- 魅力: 様々な業界の案件に関われるため、スキルアップのスピードが速い。
2. 事業会社(メーカー、サービス業など)
自社の商品やサービスを成長させる「中の人」です。
- 職種: 商品企画、広報・宣伝、Web担当者、ブランドマネージャー
- 魅力: 自社商品に愛着を持ち、中長期的なブランド育成に関われる。
3. IT・SaaS企業
現在、最もマーケターの需要が高い領域です。
- 職種: デジタルマーケター、インサイドセールス、カスタマーサクセス
- 魅力: データドリブンな最先端のマーケティング手法を実践できる。

【当社ノウハウ】特にBtoB(法人向け)のIT企業では、SEOやリスティング広告のスキルが重宝されます。当社にはBtoBの顧客ならではのキーワードを選定し、順位UPから資料DLなどのCV増加まで成果につなげるBtoBSEOのノウハウがありますが、こうした専門知識を持つ学生は就職活動でも非常に有利になります。
現場で求められる「真のスキル」
大学で学ぶ理論に加え、現場で即戦力として活躍するために学生のうちに身につけておくべき「プラスアルファ」のスキルについて、プロの視点から解説します。
1. デジタルツールの活用スキル
大学の授業では扱わないことが多いですが、現場では必須です。独学やインターンシップで補完しましょう。
- Google Analytics 4 (GA4): Webサイトのアクセス解析
- Web広告運用: Google広告やSNS広告の仕組み理解
- SNS運用: ビジネス視点でのアカウント運用経験
2. 合意形成とプロジェクトマネジメント
マーケティングは一人ではできません。営業、開発、デザインなど、異なる立場のメンバーを巻き込んでプロジェクトを進める力が必要です。

現場では、素晴らしい戦略も実行されなければ意味がありません。当社では、現場と経営層の目線を合わせて組織としてマーケティング戦略を推進するプロジェクトマネジメントノウハウや、関係者との合意形成ノウハウを重視しています。学生時代から、サークルやゼミ活動で「人を動かす経験」を積んでおくことを強くお勧めします。
失敗しない大学選びのポイント
最後に、数ある大学の中から自分に合った学部・学科を選ぶための具体的なチェックリストを紹介します。偏差値だけでなく、中身を見て選ぶことが重要です。
大学選びのチェックリスト
- カリキュラムの内容: マーケティングだけでなく、データ分析やIT、心理学など、関連分野も学べるか?
- 教授陣の専門性: 実務経験のある教授や、自分が興味のある分野(例:消費者行動、ブランド論)の専門家がいるか?
- ゼミの活発さ: 企業連携プロジェクトやコンテストへの参加など、実践的な活動を行っているゼミがあるか?
- 就職実績: 自分が目指したい業界や職種への就職実績が豊富か?
Webサイトやパンフレットだけでなく、オープンキャンパスに参加して先輩の話を聞いたり、教授の著書を読んでみたりすることで、入学後のミスマッチを防ぐことができます。
まとめ
大学でマーケティングを学ぶことは、変化の激しいビジネス界を生き抜くための「羅針盤」を手に入れることです。
- 体系的な理論は、迷った時の判断基準になります。
- 論理的思考力は、あらゆる課題解決の土台になります。
- 多様な価値観との出会いは、新しいアイデアの源泉になります。
ツールやテクニックは社会に出てからでも学べますが、こうした「思考の土台」を4年間かけて築けるのは大学ならではの特権です。
もしあなたがマーケティングを通じて「世の中に新しい価値を届けたい」「企業の成長に貢献したい」と考えているなら、大学での学びは間違いなくあなたのキャリアを輝かしいものにしてくれるでしょう。
TSRコンサルティングは、未来のマーケターであるあなたの挑戦を応援しています。
FAQ
Q1. 数学が苦手ですが、マーケティングを学べますか?
A. はい、問題ありません。確かに経済学部などでは数式を使う場面もありますが、商学部や経営学部では、消費者心理やブランド論など、文系的なアプローチが中心の授業も多いです。ただし、実務ではデータを扱うため、「数字に対する拒否反応」はなくしておくことが望ましいです。当社が保有する「アンケートを集計・分析して次につながる価値ある情報に変換する分析ノウハウ」のように、数字から意味を読み取る力は、文系理系問わず重要になります。
Q2. マーケティング学部がない大学でも、マーケターになれますか?
A. もちろんなれます。文学部、法学部、理工学部など、あらゆる学部出身のマーケターが活躍しています。大切なのは学部名ではなく、「顧客の視点に立つ力」や「論理的に考える力」です。他学部であっても、独学でWebマーケティングを学んだり、インターンシップに参加したりすることで、十分なスキルを身につけることが可能です。
Q3. 大学に行かずに、すぐにWebマーケティングスクールに行くのはどうですか?
A. 「最短で特定のWebスキル(広告運用やSEOなど)を身につけて働きたい」という明確な目的があるなら、スクールも有効な選択肢です。しかし、長期的なキャリア形成や、経営視点を持ったマーケター(CMOなど)を目指すのであれば、大学での幅広い教養と理論学習は大きな資産となります。ご自身のキャリアプランと時間軸に合わせて選択することをおすすめします。

