マーケティングリサーチを行う際、多種多様なツールの中から最適なものを選ぶのは大変ですよね。無料ツールからプロ仕様の高機能ツールまで、選択肢が多すぎて「結局どれを使えばいいの?」と迷ってしまうWEB担当者の方も多いのではないでしょうか。

ツールは、リサーチの目的や予算、チームのスキルレベルに合わせて選ぶことが重要です。この記事では、無料から有料まで、主要なマーケティングリサーチツールを目的別に徹底比較します。ツールの活用でリサーチ業務を効率化し、精度の高いデータ分析につなげる方法を、具体的な事例も交えながら分かりやすく解説します。

ツール活用のメリット

マーケティングリサーチにツールを活用することには、多くのメリットがあります。時間やコストを大幅に削減し、より質の高いデータをスピーディーに手に入れることができます。

業務効率化とコスト削減

ツールを使えば、アンケートの作成、データ収集、集計、グラフ化といった一連の作業を自動化・効率化できます。これにより、手作業でリサーチを行っていた場合に比べて、大幅な時間とコストの削減が可能です。また、オンラインツールは場所を選ばずに調査を実施できるため、柔軟な働き方にも対応できます。

データの客観性と網羅性

ツールは、特定のセグメントに絞った調査や、大規模なサンプル数の調査を簡単に実施できます。これにより、主観的な意見に頼ることなく、客観的なデータを収集することができ、より精度の高い意思決定が可能になります。

リアルタイムな分析

多くのツールには分析機能が備わっており、回答が集まり次第リアルタイムで結果を確認できます。これにより、迅速に市場のトレンドや消費者の反応を把握し、素早い戦略修正を行うことができます。

比較表:代表ツールの特徴と評価

様々なツールがある中で、特に代表的なものを目的別に比較表にまとめました。

ツール名目的特徴・評価価格帯
Google Formsアンケートシンプルで使いやすい。Googleスプレッドシート連携が便利。初心者向け。無料
SurveyMonkeyアンケート豊富なテンプレートと高度なロジック設定が可能。専門的な調査向け。有料(一部無料)
Google Analyticsアクセス解析Webサイトのユーザー行動を詳細に分析。サイト改善に不可欠。無料
Ahrefs競合・SEO競合サイトの被リンクやキーワード戦略を網羅的に分析できる。有料
Microsoft Clarityユーザー行動ユーザーのクリックやスクロールを可視化するヒートマップツール。無料
マクロミル専門調査国内最大級の消費者パネルを持つ。大規模な定量調査に強み。要見積もり

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目的別ツール比較

ここからは、マーケティングリサーチの目的別に主要なツールを紹介していきます。自社の目的や課題に最適なツールを見つける参考にしてください。

アンケート調査ツール

  • Google Forms(https://www.google.com/intl/ja_jp/forms/about/
    • 特徴: Googleアカウントがあれば誰でも無料で利用できます。シンプルな操作性で、初心者でも簡単にアンケートを作成できます。回答はGoogleスプレッドシートに自動で集計されます。
    • 適しているケース: 社内アンケートや小規模な顧客調査、費用をかけずに手軽に始めたい場合。
  • SurveyMonkey(https://jp.surveymonkey.com/
    • 特徴: 世界的に広く利用されている有料ツール。豊富なテンプレートや高度なロジック設定、多様なデータ分析機能が魅力です。
    • 適しているケース: 大規模な調査、複雑な質問設定が必要な場合、専門的な分析を行いたい場合。
  • FreeQualtrics(https://www.qualtrics.com/jp/
    • 特徴: 世界中の大学や企業で利用される最高峰の調査・分析プラットフォーム。複雑なデータ分析や顧客体験の追跡など、高度な機能が充実しています。無料プランもあります。
    • 適しているケース: 学術的な調査、顧客体験(CX)の継続的な改善を目指す場合。
太田高寛

ツールは手軽で便利ですが、質問の仕方一つで回答の質は大きく変わります。当社には「意味ある一次情報」になるアンケート設計ノウハウがあります。ただのデータ収集で終わらせないための質問設計は、プロに相談するのが一番の近道です。

競合・市場調査ツール

市場全体の動向や競合の状況を把握するためのツールです。

  • Ahrefs(https://ahrefs.jp/
    • 特徴: SEO分析ツールとして有名ですが、被リンク分析や競合サイトのキーワード戦略を把握するのに非常に役立ちます。
    • 適しているケース: 競合のWeb集客戦略を分析したい場合。
  • SEMRush(https://jp.semrush.com/
    • 特徴: Ahrefsと並ぶオールインワンSEOツール。キーワード調査、競合分析、広告分析など、幅広いデータを提供します。
    • 適しているケース: 競合のSEO・広告戦略を統合的に分析したい場合。
  • Googleトレンド(https://trends.google.co.jp/trends/
    • 特徴: 特定のキーワードの検索動向を無料で把握できるGoogle公式ツール。世の中の関心事がリアルタイムで分かります。
    • 適しているケース: 新規事業のアイデア出しや、トレンドキーワードのリサーチをしたい場合。

データ分析・視覚化ツール

集まったデータを分析し、分かりやすく可視化するためのツールです。

  • Google Analytics(https://analytics.google.com/analytics/web/
    • 特徴: Webサイトのアクセス解析ツール。ユーザーの流入経路、行動、コンバージョン率などを無料で分析できます。
    • 適しているケース: サイト改善、コンテンツのパフォーマンス測定を行いたい場合。
  • Google Search Console(https://search.google.com/search-console/
    • 特徴: サイトがGoogle検索でどのように表示されているかを無料で確認できます。どのようなキーワードで流入しているか、検索順位の推移などを把握できます。
    • 適しているケース: SEO改善、キーワード戦略を練りたい場合。
  • Google Looker Studio(https://lookerstudio.google.com/
    • 特徴: 複数のデータソースを統合し、見やすいレポートやダッシュボードを無料で作成できます。
    • 適しているケース: 複雑なデータを社内で共有し、チーム全体で分析したい場合。
太田高寛

アンケートを集計しただけのデータは、ただの「数値の羅列」にすぎません。私たちには、そこから次につながる価値ある情報に変換する分析ノウハウがあります。データ分析は、「このデータから、次の一手として何をすべきか?」という問いに答える作業なのです。

専門ツールと委託の選択肢

アンケートやWeb解析ツールだけではカバーできない、より専門的なリサーチを行うためのツールや、外部委託の選択肢も紹介します。

ユーザー行動分析ツール

  • Mouseflow(https://mouseflow.com/ja/
    • 特徴: ユーザーのサイト内でのマウスの動きやクリック箇所を記録し、ヒートマップで可視化します。
    • 適しているケース: Webサイトのユーザビリティ改善、コンバージョン率最適化(CRO)を行いたい場合。
  • Microsoft Clarity(https://clarity.microsoft.com/
    • 特徴: Microsoftが提供する無料のヒートマップツール。サイト内のクリック数やスクロール深度を分析できます。
    • 適しているケース: 無料でヒートマップ分析を試したい場合。

SNSリスニングツール

  • Sprout Social(https://sproutsocial.com/jp/
    • 特徴: SNSの投稿を監視し、自社ブランドや商品に関する言及、ユーザーの意見などをリアルタイムで収集・分析します。
    • 適しているケース: ブランドイメージの管理、新商品に対するユーザーの生の声を収集したい場合。

リサーチ会社への委託

複雑な調査設計や専門的な分析、大規模なサンプル調査が必要な場合は、プロのリサーチ会社に依頼するのが賢明です。

  • マクロミル(https://www.macromill.com/
    • 特徴: 国内最大級の消費者パネルを保有しており、大規模な定量調査を強みとしています。
    • 適しているケース: 大規模な市場調査や、特定のセグメントへのアンケート調査を行いたい場合。
  • 楽天インサイト(https://insight.rakuten.co.jp/
    • 特徴: 楽天の会員パネルを活用し、多様な層への調査が可能です。
    • 適しているケース: 楽天ユーザーの行動や購買動向を把握したい場合。

失敗しないツールの選び方

ツール選びで失敗しないためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。

1. 目的と予算の確認

「なぜこのツールが必要なのか?」という目的を明確にし、それに見合った予算を割り当てることが重要です。まずは無料ツールから試してみて、必要に応じて有料ツールに切り替えるのがおすすめです。

2. チームのスキルレベル

高機能なツールは、使いこなすまでに時間がかかります。チームに専門知識を持つメンバーがいない場合は、直感的に操作できるシンプルなツールから始めるのが良いでしょう。

3. 複数のツールを組み合わせる

一つのツールですべてを解決しようとせず、複数のツールを組み合わせて活用することが効果的です。例えば、Google Analyticsでサイトの課題を発見し、Mouseflowでその原因を特定し、Google Formsでユーザーに直接ヒアリングするといった使い方が考えられます。

太田高寛

アンケート対象が企業の従業員などの場合、GoogleアカウントやMicrosoftアカウントが無くて回答出来ないといった落とし穴もありますので、アンケート対象者の回答時の環境を事前に想像して選ぶ点もとても重要です

まとめ

マーケティングリサーチは、ツールをうまく活用することで、より効率的で精度の高いものになります。ツールの選定においては、「目的・予算」「チームのスキル」「他のツールとの連携」を考慮することが重要です。

本記事でご紹介したツールは、それぞれ異なる強みを持っています。まずは自社のリサーチ課題を整理し、それに最適なツールを試してみましょう。もし、どのツールを選べば良いか分からない、ツールの活用方法が分からないといったお悩みがあれば、ぜひ専門家に相談してみてください。

FAQ

無料ツールと有料ツールの違いは何ですか?

主な違いは、機能の充実度とデータの質です。無料ツールは基本的な機能に限定されることが多いですが、有料ツールは高度な分析機能、大規模なサンプルへの調査、専門的なサポートなどが提供されます。

ツールだけ使えば、マーケティングリサーチは成功しますか?

いいえ、ツールはあくまでも「手段」です。ツールでデータを収集・分析できても、そのデータから「何を読み解き、どう事業に活かすか」という「解釈と活用」が最も重要です。

どのツールから始めるのがおすすめですか?

まずはGoogle FormsGoogle Analyticsといった無料で利用できるツールから始めるのがおすすめです。これらのツールは汎用性が高く、マーケティングリサーチの基本を学ぶのに最適です。