業界別マーケティング戦略の違いと題して、様々な業界ならではのマーケティング戦略の事例からTSRコンサルティングならでは事例までまとめてお届けいたします。どうぞお付き合いください。
なぜ業界ごとにマーケティング戦略は異なるのか?
マーケティング戦略の基本は共通していても、業界が変われば顧客ニーズや競合環境は大きく異なります。例えば「飲食店」と「ホテル」では顧客の購買動機も来店頻度もまったく違いますし、「コンビニ」と「ゲーム」では提供する価値の形態そのものが異なります。つまり、成功する戦略を立てるためには、業界特性を理解したうえで戦略を最適化することが欠かせません。
この記事では、代表的な業界ごとのマーケティング戦略を整理し、実際の事例を交えながら比較していきます。
飲食業界:カフェのマーケティング戦略
飲食業界の中でも競争が激しいのがカフェ業界です。スターバックスは「サードプレイス(家庭でも職場でもない心地よい居場所)」というポジショニングを打ち出し、空間体験そのものを商品化しました。これは4PのProductを「空間」まで広げた戦略といえます。
一方、ドトールは「低価格で気軽に立ち寄れる場所」として、価格競争力を強みに市場を拡大。顧客ターゲットを明確に分けることで、同じカフェ業態でも差別化を実現しています。

飲食業界では“空間体験”や“価格”など、何を強みに据えるかで戦略が大きく変わります。小規模カフェでも独自の強みを明確化することが重要です。
小売業界:コンビニのマーケティング戦略
小売業界、とりわけコンビニは生活に密着した業態です。セブン-イレブンは購買データを徹底的に活用し、地域ごと・時間帯ごとに商品の品揃えを最適化。さらにプライベートブランド(PB)を展開することで、「ここでしか買えない」という独自性を確立しました。
一方、ファミリーマートは「ファミマカフェ」や「コラボ商品」など話題性を重視した戦略で差別化を図っています。データ主導型か、話題喚起型か――同じ業界でも戦略の方向性が異なるのは非常に興味深い点です。
サービス業界:ホテルのマーケティング戦略
サービス業では「体験価値」が戦略の中心になります。星野リゾートは「旅の目的そのものを提供する」というポジショニングで、地域資源と融合した独自の宿泊体験を打ち出しています。単なる宿泊施設ではなく、「地域の物語を体験する場所」として差別化を図っているのです。
一方、外資系のマリオットは「グローバルで統一された高品質のサービス」を強みにブランドを展開。顧客はどの国でも同じ安心感を得られるという価値を提供しています。
このように、サービス業ではローカル戦略とグローバル戦略の違いが明確に表れています。

サービス業のマーケティング戦略は“体験”をどう設計するかに尽きます。商品が形として残らない分、顧客の記憶に残る仕組みを考えることがカギです。
エンタメ業界:ゲームのマーケティング戦略
エンタメ業界では顧客の熱量をいかに高めるかがポイントです。任天堂は「Wii」や「Switch」でライト層を取り込み、家族や友人とのコミュニケーションを軸に戦略を展開しました。これはSTP分析に基づいた「ターゲット拡張戦略」の好例です。
一方、ソニー(PlayStation)は高性能ハードと独占タイトルで「ゲーム好きのコア層」をターゲットに据えました。同じゲーム業界でも、ターゲット設定が異なることで戦略は正反対の方向性を取っています。
業界別戦略の比較ポイント
業界ごとの事例を比較すると、次のような違いが見えてきます。
- 飲食: 空間体験か価格訴求か
- 小売: データ最適化か話題喚起か
- サービス: ローカル体験かグローバル統一か
- エンタメ: ライト層拡張かコア層特化か
このように業界特性に応じて戦略の重点は変わります。しかし、共通して言えるのは「顧客ニーズを起点に戦略を設計すること」です。
まとめ:自社業界の特性を踏まえた戦略策定を
マーケティング戦略のフレームワーク(3C・STP・4P)はあらゆる業界に適用できますが、成功の鍵は自社業界ならではの特性に戦略をフィットさせることです。事例を参考に、自社がどの方向性で勝負すべきかを考えると戦略が具体化します。
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