- インナーブランディング施策15個の概要・向いている課題・実施のポイント・注意点
- 「伝える」「自分ごと化する」「仕組みにする」「つなぐ」の4つの目的別の分類
- 自社の課題・規模・リソースから施策を選ぶ考え方
- 単発で終わらせないための施策の組み合わせ方と効果の見方
「インナーブランディングを任されたが、何をすればいいのかわからない」「社内報やイベントはやっているが、理念が浸透している実感がない」。人事や広報の担当者からは、こうした声をよく聞きます。
インナーブランディングの施策は、社内報や研修、表彰制度、社内SNSなど種類が多く、どれも「やったほうがよさそう」に見えます。ただ、施策ごとに得意なことは違います。理念を知ってもらうための施策と、日々の行動に結びつけるための施策を取り違えると、手間をかけたわりに現場の空気が変わらない、ということが起こります。
この記事では、代表的な施策を15個取り上げ、「理念を伝える」「自分ごと化する」「行動と仕組みに落とし込む」「コミュニケーションを活性化する」という4つの目的に分けて整理しました。それぞれの施策について、どんな課題に向いているか、実施するときのポイント、つまずきやすい点をまとめています。
後半では、自社の課題や規模に合わせて施策を選ぶ考え方と、複数の施策を組み合わせて単発で終わらせないコツも紹介します。施策のアイデア探しや、いまの施策の見直しに使ってみてください。
インナーブランディング施策は「目的」から選ぶ
施策は手法の名前ではなく「社員にどうなってほしいか」で選びます。知る、共感する、行動する、つながるのどこを狙うかで適した施策が変わります。
インナーブランディングは、企業理念やビジョン、自社ブランドの価値を社員に浸透させ、日々の行動や判断に反映させていく取り組みです。定義や目的の詳細はインナーブランディングとは?定義・目的・効果を初心者向けに徹底解説で解説しているので、ここでは施策の話に絞ります。
理念が根づくまでには、おおまかに「知る(認知)」「共感する(理解)」「行動に移す(実践)」「続ける(定着)」という段階があります。社内報を何号出しても評価と結びつかなければ実践には進みにくく、理念が知られていない状態で表彰制度だけ整えても、称える基準がぼやけます。
そこで15の施策を次の4つの目的に分けて紹介します。なお、研修や制度のような「機能的」な施策と、映像や印刷物のような「情緒的」な施策に分ける整理もあり、どちらの軸でも一つの施策で全部をまかなうのは難しい点は共通しています。
| 目的 | 社員の状態の変化 | 主な施策 |
|---|---|---|
| 理念・ビジョンを伝える | 知らない → 知っている | トップメッセージ、クレド、社内報、ブランドブック、動画 |
| 自分ごと化する | 知っている → 自分の仕事と結びつく | 理念ワークショップ、階層別研修、経営陣との対話会 |
| 行動と仕組みに落とし込む | わかっている → 行動し、評価される | 評価制度との連動、表彰制度、サンクスカード、オンボーディング |
| コミュニケーションを活性化する | 個人の行動 → 組織の文化になる | 社内SNS、社内イベント、部門横断プロジェクト |

社員を「社内顧客」と捉えると整理しやすくなります。お客様に対しても、いきなり購入を迫らず、知ってもらい、興味を持ってもらう段階を踏みますよね。社内も同じで、いまどの段階でつまずいているかを先に見ておくと、打つ手を間違えにくくなります。
理念・ビジョンを伝える施策5選
まず理念やビジョンを「知っている」状態をつくる施策です。発信の量と一貫性が効きますが、これだけで行動が変わるわけではない点は押さえておきます。
1. トップメッセージの発信
経営者が自分の言葉で、理念に込めた思いや会社の方向性を語る施策です。全社会議でのスピーチ、社内報のコラム、動画メッセージ、社内ブログなど形式はさまざまです。
- 向いている課題:理念が「額縁の中の言葉」になっている、経営方針の変化が現場に伝わっていない、経営と現場の距離が遠い。
- 実施のポイント:理念の言葉を繰り返すだけでなく、「最近の意思決定で理念をどう判断材料にしたか」といった具体的な場面を交えると伝わりやすくなります。
- 注意点:一方通行になりがちです。質問を受け付ける窓口や、後述する対話会とセットにすると受け身の情報で終わりにくくなります。
2. クレド(行動指針)の作成・配布
企業理念を、社員が日常で判断に使える具体的な行動基準に言い換えたものです。カードにして携帯できるようにしたり、朝礼で読み合わせたりする運用がよく見られます。
- 向いている課題:理念が抽象的で、現場でどう動けばよいかの解釈がばらばらになっている。
- 実施のポイント:現場の社員を巻き込んで言葉を選ぶと納得感が変わります。誰も否定しない言葉より、迷う場面で判断の助けになる言葉を意識します。
- 注意点:唱和や暗記が目的化すると形骸化します。評価面談や1on1で「このクレドに沿った行動」を話題にするなど、使われる場面をあらかじめ設計しておきます。
3. 社内報(紙・Web)
経営メッセージ、各部署の取り組み、社員紹介などを定期的に発信する媒体です。紙とWebのどちらでも運用できます。
- 向いている課題:部署間で互いの仕事が見えていない、理念を体現している社員の姿が共有されていない。
- 実施のポイント:理念の説明より、理念に沿って動いた社員のエピソードのほうが読まれ、行動のイメージも伝わります。社員自身が書き手になる仕組みにするとネタ切れも防げます。
- 注意点:発行そのものが目的になりやすい施策です。閲覧数だけでなく、「記事をきっかけに他部署と話した」といった反応を拾う方法を考えておきます。
社員が書き手となる社内報の例として、エン・ジャパン株式会社の「en soku!(エンソク)」があります。同社の発表によると、社員一人ひとりがレポーターとなって記事を書き、社員の家族や友人にも同社の今を知ってもらう狙いで社外にも公開している社内報で、2018年3月にリニューアルを実施しています。
4. ブランドブック・理念ブックの制作
理念やビジョン、創業の経緯、価値観、具体的な行動例などをまとめた冊子やWebページです。研修の教材にも使われます。
- 向いている課題:理念の背景や成り立ちが語り継がれていない、社員数が増えて創業期の価値観が薄まっている。
- 実施のポイント:言葉の定義だけでなく、価値観が生まれたきっかけや、沿う行動・沿わない行動の例まで書くと、判断の手がかりとして使えます。
- 注意点:作って配って終わりになりがちです。研修や面談で実際に開く場面をつくること、事業や組織の変化に合わせて改訂することを前提にしておきます。
5. インナーブランディング動画
理念やビジョン、現場で働く社員の姿を映像で伝える施策です。周年行事での上映や研修、社内ポータルでの公開などに使われます。
- 向いている課題:拠点が分散していて同じ場で話を聞く機会が少ない、文章では理念の温度感が伝わりにくい。
- 実施のポイント:現場社員が自分の言葉で理念との関わりを話す構成にすると、見る側も自分に引き寄せて考えやすくなります。
- 注意点:制作の手間に対し、上映一回きりで終わることも少なくありません。公開後の使い道を決めてから制作します。

「伝える」施策は、つい媒体を増やす方向に走りがちです。でも受け手が「自分には関係ない話」と思っていれば届きません。発信を増やす前に、社員が理念をどう受け止めているかを一度聞いてみてください。
理念を自分ごと化する施策3選
理念を「知っている」から「自分の仕事と結びついている」状態に進める施策です。社員が自分で考え、言葉にする機会をどれだけつくれるかが鍵です。
6. 理念ワークショップ(対話型の勉強会)
少人数のグループで「理念のこの言葉は、自分の仕事ではどういう場面に当てはまるか」「最近、理念に沿った判断ができたのはどんなときか」などを話し合う場です。
- 向いている課題:理念は知っているが、自分の業務とは別物だと思われている。部署によって理念の解釈が違う。
- 実施のポイント:正解を教える場にせず、社員の解釈を出し合う場として運営します。部署内なら業務に引き寄せた話に、部署横断なら他部署の視点が得られます。
- 注意点:ファシリテーターの力量で質が大きく変わります。また、出てきた意見がその後どう扱われたかを返さないと、「言っても変わらない」という印象だけが残ります。
7. 階層別研修(新入社員・管理職など)
新入社員研修、中途入社者研修、管理職研修などの中に、理念や行動指針を扱う時間を組み込む施策です。
- 向いている課題:新しく入った社員に理念が伝わっていない、管理職によって部下への伝え方にばらつきがある。
- 実施のポイント:特に管理職研修は優先度が高い施策です。理念が本気かどうかは上司の言動で判断されることが多いためです。業務場面に沿った演習を入れます。
- 注意点:座学だけでは行動につながりにくいので、研修後に職場で実践する課題を出し、振り返りの場まで設計しておきます。
8. 経営陣との対話会・1on1
経営陣と社員が直接話す対話会(タウンホールミーティングなど)や、上司と部下の1on1で、理念について話す時間をとる施策です。
- 向いている課題:経営と現場の間に温度差がある、トップメッセージが一方通行になっている、疑問や違和感を口にしにくい雰囲気がある。
- 実施のポイント:経営陣が話すより聞く時間を長くとること、率直な質問を歓迎する姿勢を示すことが前提になります。1on1では毎回でなくても、「最近の仕事で理念に照らして迷ったこと」をテーマにする回をつくると話題にしやすくなります。
- 注意点:出てきた声に何も応えないと逆効果です。答えられない質問にも理由を伝えるなど、誠実に扱います。

自分ごと化でいちばん効くのは、社員が自分の言葉で理念を語る機会だと考えています。人から言われた言葉は忘れても、自分で口に出した言葉は残るものです。
行動と仕組みに落とし込む施策4選
理念に沿った行動が評価され、称えられ、繰り返される状態をつくる施策です。ここが抜けると、理念と現実の評価がずれて「建前」と受け取られます。
9. 評価制度との連動
人事評価の項目に、理念や行動指針に沿った行動を組み込む施策です。業績評価とは別に「バリュー評価」「行動評価」の枠を設ける形がよく見られます。
- 向いている課題:理念では「挑戦」を掲げているのに、実際は失敗しないことが評価されているなど、言っていることと評価がずれている。
- 実施のポイント:評価項目を具体的な行動で話し合えるレベルまで落とし込み、評価者の目線合わせの場も設けます。
- 注意点:制度改定は影響が大きく時間もかかります。まず面談で理念に沿った行動を振り返る項目を加えるところから始める方法もあります。
10. 表彰制度
理念や行動指針を体現した社員やチームを表彰する施策です。年間の社内アワード、四半期ごとの表彰、全社会議での発表などの形があります。
- 向いている課題:理念に沿った行動の具体例が社内に共有されていない、数字に表れにくい貢献が見過ごされている。
- 実施のポイント:受賞理由を「どの行動指針に、どう沿っていたか」まで言語化して共有すると、ほかの社員の見本になります。
- 注意点:毎回同じ部署や目立つ職種ばかりが受賞すると、かえって不公平感が生まれます。選考基準を公開しておくことが大切です。
11. サンクスカード・ピアボーナス
社員同士が感謝や称賛のメッセージを送り合う施策です。紙のカードのほか専用ツールを使う形もあり、少額の報酬を伴う形はピアボーナスと呼ばれます。
- 向いている課題:部署間の協力が見えにくい、上司からのフィードバックだけでは日々の良い行動を拾いきれない。
- 実施のポイント:メッセージに行動指針のタグを付けるなど、どの価値観に沿った行動だったかがわかる形にすると、理念浸透と結びつきます。
- 注意点:送ること自体がノルマになると、内容が形式的になります。送信数を競わせるような運用は避けたほうが無難です。
社員同士で称え合う仕組みを長く続けている例として、株式会社オリエンタルランドの取り組みがあります。同社によると、キャスト同士が仲間のすばらしい行動に対して専用カードにメッセージを書いて称え合う活動を1984年に「コーテシーキャンペーン」として始め、「スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート」を経て、2022年から「マジカルディズニーキャスト」という名称で続けています。上司がその場で行動を認める「スペシャルレコグニッションカード」も運用されているとのことです。
12. オンボーディング(入社後の受け入れ)との連動
入社直後の研修、配属先での受け入れ、メンター制度など、入社後の立ち上がりに理念浸透を組み込む施策です。
- 向いている課題:中途入社者が増えて価値観が多様になっている、入社後早い時期の離職が気になっている。
- 実施のポイント:入社初日に理念を説明するだけでなく、配属後の上司やメンターが「この部署で理念を体現するとはどういうことか」を具体的に伝えられるよう準備しておきます。
- 注意点:人事部門だけで完結させず、受け入れ部署の協力を得る必要があります。現場の負担が大きくなりすぎない範囲で設計します。

仕組みの施策は地味ですが、ここが整うと他の施策も効き始めます。「挑戦しよう」と呼びかけても、評価が減点方式のままなら社員は動きません。
コミュニケーションを活性化する施策3選
部署や拠点を越えて理念に沿った行動や考え方が共有され、組織の文化として根づく状態をつくる施策です。一体感や横のつながりを課題とする企業に向きます。
13. 社内SNS・ビジネスチャットの活用
社内SNSやチャットツールに、業務連絡とは別の情報共有の場をつくる施策です。各部署の取り組み紹介、成功事例の共有、称賛の投稿などに使われます。
- 向いている課題:拠点や部署が離れていて互いの仕事が見えない、リモートワークで雑談の機会が減っている。
- 実施のポイント:導入しただけでは投稿は増えません。経営陣が率先して投稿する、テーマ別のチャンネルをつくるなど、使われるきっかけを用意します。
- 注意点:ツールはあくまで箱です。何をどう共有したいかを決めずに導入すると、使われないツールが一つ増えるだけになります。
14. 社内イベント(キックオフ・周年行事など)
期初のキックオフ、創業記念や周年の行事、全社総会、社内運動会など、全社員や多くの社員が集まる場をつくる施策です。
- 向いている課題:部署間の交流が少ない、会社としての一体感が薄れている、節目に方針を共有したい。
- 実施のポイント:懇親だけで終わらせず、理念とつながるプログラムを入れます。表彰の発表をイベント内で行うなど、他の施策と組み合わせると効果を出しやすくなります。
- 注意点:参加が任意か業務扱いかで受け止め方が変わります。参加しにくい社員が取り残されない配慮も必要です。
15. 部門横断プロジェクト・社内勉強会
複数の部署からメンバーを集め、全社的なテーマに取り組むプロジェクトや勉強会です。推進チーム自体を部門横断で組むやり方もあります。
- 向いている課題:部門ごとの部分最適が進み、組織間の連携がうまくいっていない。いわゆるサイロ化が起きている。
- 実施のポイント:理念を共通言語にすると、部署の利害を越えた判断がしやすくなります。普段接点の少ない部署の組み合わせを意識してメンバーを選びます。
- 注意点:本業との兼務になることが多いため、メンバーの上司の理解と、活動時間を業務として認める合意を最初に取り付けておきます。

コミュニケーション施策は理念浸透と別物と思われがちですが、実際は一体です。部署の壁があると、同じ理念でも解釈が部署ごとに分かれていきます。
自社に合う施策の選び方
施策は、自社の課題がどの段階にあるかを特定してから選びます。課題、組織規模、担当者のリソースの3点で絞り込むと、無理のない計画になります。
課題から選ぶ
まず、自社で起きている状態に近いものを下の表から探してみてください。複数当てはまる場合は、より前の段階(認知や理解)にある課題から手を付けるのが基本です。
| よくある課題 | つまずいている段階 | 優先して検討したい施策 |
|---|---|---|
| 理念を言えない社員が多い | 認知 | トップメッセージ、クレド、ブランドブック |
| 理念は知っているが「きれいごと」と受け取られている | 理解・共感 | 理念ワークショップ、経営陣との対話会 |
| 管理職によって理念の伝え方がばらばら | 理解・共感 | 管理職研修、クレドの再設計 |
| 理念と評価・昇進の基準がずれている | 実践 | 評価制度との連動、表彰制度 |
| 良い行動が一部の人にとどまり、広がらない | 実践・定着 | サンクスカード、表彰制度、社内報での事例紹介 |
| 部署間の連携が悪く、一体感がない | 定着 | 部門横断プロジェクト、社内SNS、社内イベント |
| 中途入社者が増え、価値観がそろわない | 認知〜実践 | オンボーディングとの連動、ブランドブック |
課題の見立てには、社員アンケートや少人数のヒアリングが役立ちます。担当者の感覚だけで決めると、見えている範囲の課題に偏りやすいためです。
組織の規模で考える
社員数が数十名規模なら、経営者と社員の距離が近く、対話会やワークショップなど直接のコミュニケーションが効きやすくなります。拠点や部署が多い企業では、経営者の言葉を全員に直接届けにくいため、社内報や動画、社内SNSで発信を補い、管理職研修で「伝える役」を育てる必要が出てきます。
担当者のリソースで考える
兼務で担当している場合は、手間のかかり方で施策を見極めておくと計画が立てやすくなります。
| 負担の目安 | 施策の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 小さく始めやすい | トップメッセージ、1on1でのテーマ設定、サンクスカード、社内SNSのチャンネル開設 | 既存の場を活かせる。まず反応を見るのに向く |
| 一定の準備が必要 | クレド作成、理念ワークショップ、表彰制度、社内報、研修 | 企画・運営の担当者と期間を確保したい |
| 全社的な調整が必要 | 評価制度との連動、ブランドブック、動画、周年イベント、部門横断プロジェクト | 経営陣の合意や外部への制作依頼が必要になることが多い |

よくあるのが、他社の成功事例をそのまま持ち込んでうまくいかないケースです。課題や文化が違えば効き方も変わります。社内だけの見立てにはバイアスがかかるので、社外の目を入れるのも一つの方法です。
施策の組み合わせ方と実施時の注意点
施策は単発ではなく、「伝える」「自分ごと化する」「仕組みにする」「つなぐ」を一本の流れとして組み合わせます。効果は小さな指標で継続的に確かめます。
組み合わせの例
一つの施策だけで理念浸透が完結することはまれです。ここでは、よくある課題別に組み合わせの例を挙げます。
| 課題 | 組み合わせの例 | つながり方 |
|---|---|---|
| 理念を刷新した・浸透させ直したい | トップメッセージ → 理念ワークショップ → クレド作成 → 評価面談での活用 | 経営の思いを伝え、社員の解釈を集め、行動指針にまとめ、日々の振り返りに使う |
| 良い行動を組織に広げたい | サンクスカード → 表彰制度 → 社内報での紹介 | 日々の小さな称賛を拾い、節目で表彰し、具体的なエピソードとして全社に共有する |
| 部署間の壁を低くしたい | 部門横断プロジェクト → 社内SNSでの発信 → 社内イベントでの発表 | 少人数で協働し、その過程を発信し、全社の場で成果を共有する |
ある施策の成果が次の施策の材料になっているかを意識すると、施策がばらばらになりません。ワークショップで出た言葉をクレドに反映する、サンクスカードのエピソードを表彰候補にする、といった形です。
実施の流れは簡潔に押さえる
全体は「現状把握 → 目的と目標の設定 → 施策の選定と計画 → 実施 → 効果の確認と改善」という流れです。本記事の施策は「選定と計画」で検討するものなので、その前の現状把握と目的設定を飛ばしていないか確認しておきましょう。
効果の見方
成果が数字に表れるまでには時間がかかります。施策ごとに短期で確認できる指標を決めておくと、途中で止まらずに続けやすくなります。
- 伝える施策:社内報や動画の閲覧状況、理念の認知度を問うアンケート
- 自分ごと化する施策:ワークショップ参加者の感想、理念と自分の業務の関係を問う設問の回答
- 仕組みにする施策:サンクスカードの送受信の広がり(部署を越えたやりとりの割合など)、表彰の推薦数
- つなぐ施策:部門横断の取り組み数、エンゲージメントサーベイの関連項目
なお、施策の実施自体が目的になる、理念と評価のずれを放置したまま発信だけ増やす、といった状態は効果が出ない典型です。前提条件はインナーブランディングは「意味ない」のか?効果を最大化するための前提条件で扱っています。

インナーとアウターは地続きです。社員が自社の価値を自分の言葉で語れるようになると、提案や採用の場でも同じ言葉が出てきます。社外との接点での変化にも目を向けてみてください。
自社に合う施策の選び方に迷ったら
TSRコンサルティングのインナーブランディング支援では、社内課題を客観的に把握して原因の特定と仮説設定を行う「診断」から、施策のプランニング・実行まで伴走し、自社で推進できる状態を目指す「助言・推進支援」までを行っています。社内だけでは見えにくい課題を外部の視点で整理したい、どの施策から始めるべきか相談したいといった段階からご相談いただけます。料金は月5万円〜(税抜)です。
まとめ
- インナーブランディング施策は「伝える」「自分ごと化する」「仕組みにする」「つなぐ」の4つの目的で整理すると選びやすい
- 施策は手法の人気ではなく、自社の課題がどの段階にあるか、組織規模、担当者のリソースから選ぶ
- 単発で終わらせず、ある施策の成果が次の施策につながるように組み合わせる
- 短期で確認できる指標を施策ごとに決め、理念と評価・業務のずれがないかも合わせて見直す
よくある質問
インナーブランディングの施策にはどんなものがありますか?
代表的なものに、トップメッセージ、クレド、社内報、ブランドブック、動画、理念ワークショップ、研修、評価制度との連動、表彰制度、サンクスカード、社内SNS、社内イベント、部門横断プロジェクトなどがあります。目的別に分けて検討すると選びやすくなります。
最初に取り組むならどの施策がよいですか?
自社の課題によって異なります。理念自体が知られていなければトップメッセージやクレド、知られているのに行動に表れていなければワークショップや評価との連動が候補です。まず社員アンケートやヒアリングで現状を把握してから選ぶことをおすすめします。
少人数の会社でもインナーブランディング施策は必要ですか?
規模に関わらず、理念や価値観をそろえる意味はあります。少人数の会社では経営者と社員の距離が近いため、対話会や1on1、ワークショップなど費用をかけずに始められる施策から取り組みやすいのが利点です。
施策の効果はどのように測ればよいですか?
最終成果が出るまで時間がかかるため、施策ごとに短期の指標を決めておきます。たとえば理念の認知度アンケート、ワークショップ参加者の感想、サンクスカードの部署を越えたやりとりの割合、エンゲージメントサーベイの関連項目などです。
インナーブランディング施策は社内だけで進められますか?
社内だけでも進められます。ただし、社内の人だけで課題を見立てると、立場や経験によるバイアスがかかりやすい面があります。課題の把握や施策の選定の段階で社外の視点を取り入れると、優先順位を整理しやすくなります。
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