この記事でわかること
  • インナーブランディングを学べるセミナーの主な種類と特徴
  • セミナー・研修・ワークショップの違い
  • 目的やレベルに合ったセミナーを選ぶための確認ポイント
  • 受講した学びを社内の取り組みに生かす方法
  • 社員向けの社内セミナーを企画・開催するときの手順と工夫

インナーブランディングを任されたものの、何から学べばよいかわからない。そんなときに選択肢の一つになるのがセミナーです。検索してみると、研修会社の公開講座、支援会社が開く無料のウェビナー、担当者同士の勉強会など、さまざまなセミナーが見つかります。一方で、種類が多いぶん、どれが自社の状況に合っているのか判断しにくいという声も聞きます。

また、「インナーブランディングのセミナー」には、担当者が外部で学ぶものだけでなく、社員に向けて社内で開くものもあります。理念やビジョンを伝える場として、社内セミナーを企画したいと考えている方もいるでしょう。

この記事では、インナーブランディングを学べるセミナーの種類と選び方を整理したうえで、受講後に学びを生かす方法、さらに社員向けの社内セミナーを企画するときの手順と進め方の工夫まで解説します。当社が営業職の社員向けに実施したセミナーで取り入れた工夫も紹介します。


インナーブランディングセミナーとは

インナーブランディングセミナーとは、理念やビジョンを社内に浸透させるための考え方や進め方を、講義やワークを通じて学ぶ場です。

インナーブランディングとは、企業が大切にしている理念・ビジョン・価値観を社内で共有し、社員がそれに共感して自発的に体現できる状態をめざす取り組みです。セミナーは、その進め方を担当者が学ぶための場として使われるほか、社員に理念を伝える社内施策の一つとしても使われます。

2つの使い方がある

この記事で扱うセミナーは、大きく次の2つに分かれます。

使い方主な参加者目的
担当者が外部で学ぶ人事・広報・経営企画などの担当者、経営者インナーブランディングの考え方や進め方、他社の事例を学ぶ
社内で社員向けに開く社員、管理職、特定の職種や部署理念やビジョンの背景を伝え、自分の仕事とのつながりを考えてもらう

セミナー・研修・ワークショップの違い

セミナー、研修、ワークショップは重なる部分も多いですが、主なねらいと進め方に違いがあります。

形式主なねらい進め方
セミナー知識や考え方、事例を短時間で伝える講師による講義が中心。単発で行われることが多い
研修知識やスキルを身につけ、行動を変える講義と演習を組み合わせ、複数回で行われることもある
ワークショップ参加者の考えを引き出し、合意や気づきをつくる参加者同士の対話と作業が中心

実際には、講義の後にワークを入れるセミナーや、ワークショップ形式の研修もあり、境目ははっきりしていません。名称よりも、何を持ち帰れる場なのかを見ることが大切です。研修の組み立て方はインナーブランディング研修プログラムの作り方:対象者別の設計から効果測定までで、ワークショップの設計は理念浸透のためのインナーブランディングワークショップ:設計の手順・プログラム例・進行のコツで紹介しています。

太田高寛

セミナーを探すときは、「インナーブランディング」という名前がついているかより、自分がいま知りたいことに答えてくれる内容かどうかを見るのがよいと思います。名前は同じでも、中身はかなり違うことが多いと感じています。

インナーブランディングを学べるセミナーの種類

担当者が学べるセミナーは、主催者と形式によって、研修会社の公開講座、教育機関の講座、支援会社のセミナー、協会の講座、担当者同士の勉強会などに分かれます。

それぞれに向き不向きがあるため、まずは全体像を押さえておくと選びやすくなります。

種類主な主催者特徴向いている人
公開講座(有料)研修会社体系的なカリキュラムで、ワークを通じて進め方を学ぶ基礎から体系的に学びたい担当者
教育機関の講座広告・マーケティング系の教育機関など原理原則から実践的なアプローチまでを、1日集中や複数回の形式で学ぶ社内で推進役を担う人
支援会社のセミナー・ウェビナーインナーブランディングの支援会社自社の支援事例やノウハウを紹介する。無料のものも多い事例を知りたい人、外部支援を検討している人
協会・団体の講座ブランディング関連の協会など入門から資格につながる講座まである用語や理論を基礎から押さえたい人
担当者同士の勉強会・対話会支援会社、コミュニティ他社の担当者と悩みや工夫を共有する実務の悩みを相談したい人

公開講座や教育講座

研修会社や教育機関の講座は、カリキュラムが組まれており、インナーブランディングの全体像から進め方までを順序立てて学べる点が特徴です。オンライン型と来場型を選べる講座もあります。たとえば研修会社のインソースは、ワークを通じて自部門でのアクションプランを策定する公開講座を案内しています。

支援会社のセミナー・ウェビナー

インナーブランディングを支援する会社が開くセミナーでは、その会社が手がけた事例や、周年事業・表彰式など特定の施策についてのノウハウが紹介されることが多くあります。無料で参加できるものも多い一方、主催者のサービス紹介が含まれる場合があることも理解しておきましょう。

協会の講座や担当者同士の勉強会

ブランディング関連の協会では、入門セミナーから資格につながる講座まで用意していることがあります。たとえば一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会は、インターナルブランディングの基礎を2.5時間で学ぶオンラインの入門セミナーを案内しています。また、担当者同士が集まって情報交換する対話会や勉強会は、同じ立場の人が実際にどう工夫しているかを知る機会になります。イベント告知サイトで「インナーブランディング」と検索して探す方法もあります。

太田高寛

支援会社のセミナーは無料で参加しやすい反面、紹介される事例はその会社が得意とする施策に寄りやすいと感じています。いくつかの主催者のセミナーを聞き比べると、考え方の違いが見えて面白いと思います。

自社に合ったセミナーの選び方

セミナーを選ぶときは、受講の目的、自分の知識レベル、内容と講師、形式と費用、受講後のフォローの5つを確認すると、受講してから期待と違ったというずれを防げます。

受講の目的をはっきりさせる

まず、セミナーで何を得たいのかを決めます。目的によって、選ぶべきセミナーは変わります。

目的選びたいセミナーの例
インナーブランディングの全体像を知りたい入門向けの講座、基礎を扱う公開講座
進め方や計画の立て方を学びたいワークでアクションプランをつくる講座
他社の事例を知りたい支援会社のセミナー、担当者同士の対話会
特定の施策を企画したい周年事業、表彰式、社内報など施策別のセミナー
社内で推進役を担う力をつけたい実践的な教育講座

自分の知識レベルに合っているか

初めてインナーブランディングを担当する人と、すでに施策を進めている人では、必要な内容が異なります。講座の案内に書かれている対象者や前提知識を確認し、自分のレベルに合ったものを選びましょう。

内容と講師を確認する

カリキュラムや当日の流れが公開されている場合は、事前に確認します。あわせて、講師がどのような立場で、どのような実務に関わってきたのかも見ておくと、話の中身を想像しやすくなります。

形式・時間・費用

オンラインか来場か、単発か複数回か、無料か有料かといった条件も選ぶうえで大切です。業務の都合や予算に合わせて、無理なく参加できるものを選びます。

受講後のフォローがあるか

受講後に資料が共有されるか、質問や個別相談の機会があるかも確認しておくと、学んだことを自社に当てはめるときに役立ちます。

太田高寛

受講の前に、「このセミナーが終わったら社内で何をするか」を一つ決めておくのがおすすめです。持ち帰る宿題がはっきりしていると、聞き方も質問の仕方も変わってくると思います。

受講後に学びを社内で生かす方法

セミナーの学びは、自社の状況に当てはめて整理し、社内で共有し、小さく試すところまで進めて初めて成果につながります。

自社の状況に当てはめて整理する

セミナーで紹介される事例は、他社の規模や業種、組織の状況を前提にしています。そのまま真似るのではなく、自社では何が同じで何が違うのかを整理し、取り入れられる部分を見極めます。

社内で共有する

受講した内容を、上司や関係部署に共有します。インナーブランディングは一つの部署だけで進めるのが難しい取り組みです。学んだ考え方を共有しておくと、施策を提案するときに理解を得やすくなります。

小さく試して振り返る

学んだ施策をいきなり全社で展開するのではなく、一つの部署や一つのテーマで試してみます。うまくいった点と課題を振り返り、自社に合った形に整えてから広げると、失敗のリスクを抑えられます。進め方の全体像はインナーブランディングの進め方ロードマップ:企画、設計、実行、評価の7ステップで紹介しています。

太田高寛

セミナーで聞いた事例を社内で紹介すると、「うちとは規模が違う」と言われることがよくあります。事例そのものより、その会社がなぜその施策を選んだのかという考え方を伝えると、受け止めてもらいやすいと感じています。

社員向けの社内セミナーを企画する手順

社内セミナーは、目的と対象を決め、伝える内容と講師を選び、当日の進め方と事後のフォローまでを一続きで設計すると効果が高まります。

理念やビジョンを社員に伝える場として、社内でセミナーを開く企業もあります。企画は次の手順で進めると整理しやすくなります。

手順決めることポイント
1. 目的を決めるセミナーの後に参加者にどうなってほしいか理解してほしいのか、行動を変えてほしいのかを一文で書く
2. 対象を決める全社員か、管理職か、特定の職種や部署か対象を絞るほど内容を具体的にできる
3. 現状を聞く経営層の期待と現場の課題上位層の理想と現場の実態のずれを把握する
4. 内容を組み立てる講義のテーマとワークの内容理念と参加者の仕事のつながりが見える構成にする
5. 講師を決める社内の経営層・担当者か、外部の講師か伝えたい内容と、参加者が話しやすい立場を考える
6. 当日の進め方を決める冒頭の挨拶、時間配分、座席参加者が受け身にならない工夫を入れる
7. 事後のフォローを決めるアンケート、振り返り、次の施策記憶が新しいうちに声を集める

社内の講師と外部の講師

社内の経営層や担当者が講師を務めると、自社の言葉で理念の背景を語れるという利点があります。一方、外部の講師は、他社の事例や客観的な視点を持ち込みやすい点が特徴です。冒頭は経営層や企画者が意義を語り、本編を外部の講師が担当するといった組み合わせもあります。

太田高寛

社内セミナーは、講義の中身と同じくらい、冒頭で「なぜいまこの時間を取るのか」を伝えることが大切だと感じています。そこが伝わると、参加者の聞く姿勢が大きく変わると思います。

社内セミナーの進め方の工夫(当社の実施例)

参加者が受け身にならないよう、事前の準備、当日の進行、終了直後のアンケートまでを一つの流れとして工夫すると、セミナーを次の施策につなげやすくなります。

当社では、不動産コンサルティング会社の営業職の社員50名弱を対象に、2時間のセミナーを実施しました。営業の役割を、WEB集客からリード獲得、ナーチャリング、成約までを含む顧客体験を設計できる人材へ変えたいという部長からのご依頼で、営業社員がWEBマーケティングの考え方を理解し、インナーブランディングにつなげることを目的としたものです。このときに取り入れた主な工夫は次のとおりです。

  • 事前のヒアリングで、上位層の理想と現場の課題のずれを整理した
  • Googleフォームで事前ワークを行い、基礎知識の確認と参加意識の向上を図った
  • 冒頭で企画者から、社内の最新状況と代表からの全社メッセージを絡めて講義の意義を伝えてもらった
  • 30分前後の体験型ワークを取り入れた。アンケートではこのワークの満足度が最も高かった
  • 座席指定とネームプレートを用意し、講師が受講者を名前で指名できるようにした
  • 台本を基本にしつつ、場の温度感に合わせて柔軟に進めた
  • 終了後はその場でアンケートに回答してもらい、次の施策につなげた

依頼主の部長からは、部門間の共通言語ができ、今後の組織統合の土台になったとの評価をいただきました。詳しくは営業職を対象にインナーブランディングセミナーを開催で紹介しています。

太田高寛

このときは、最初に伝えたいことを並べるとスライドが60枚以上になり、その量をどう伝えるかに苦労しました。伝えたいことを全部入れるより、参加者が自分で考える時間を残す方が、持ち帰ってもらえるものは多いと感じています。

インナーブランディングのセミナーや社内施策を相談したい方へ

TSRコンサルティングでは、社員の意思統一や部門間の連携といった組織課題をインナーブランディングの観点から診断し、社内セミナーや研修をはじめとする施策の進め方について、計画立案から実行まで助言・伴走します。相談から実務支援、社内に入っての課題抽出まで対応しており、料金は月5万円(税抜)からです。「社員向けのセミナーを企画したいが、何を伝えればよいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

まとめ

  • インナーブランディングセミナーには、担当者が外部で学ぶものと、社員向けに社内で開くものがある
  • 外部セミナーは公開講座、教育講座、支援会社のセミナー、協会の講座、勉強会などに分かれ、目的・レベル・内容・形式・フォローで選ぶ
  • 受講後は自社に当てはめて整理し、社内で共有し、小さく試して振り返ることで学びを生かす
  • 社内セミナーは目的と対象を決め、事前準備から終了直後のアンケートまでを一つの流れとして設計する

よくある質問

無料のセミナーと有料のセミナーはどう違いますか?

無料のセミナーは支援会社が主催するものが多く、事例や施策の紹介が中心で、サービス紹介が含まれることもあります。有料の講座は体系的なカリキュラムやワークが用意されていることが多いです。目的に合わせて使い分けるとよいでしょう。

オンラインのセミナーでも学べますか?

学べます。移動の負担がなく参加しやすい点が利点です。ワークを含む講座では、少人数で話せる機能を使って対話の時間を設けているものもあります。集中して参加できるよう、業務から離れられる時間を確保しておくことが大切です。

経営者も一緒に参加した方がよいですか?

可能であれば一緒に参加すると、考え方を共有しやすくなります。インナーブランディングは経営層の関与が欠かせない取り組みのため、担当者だけが学んで終わると、社内で提案するときに理解を得るのに時間がかかることがあります。

社内セミナーの時間はどのくらいが適切ですか?

目的と内容によって異なります。講義だけで長時間続けると集中が途切れやすいため、ワークや対話の時間を挟むことが大切です。当社が営業職向けに実施したセミナーは2時間で、その中に30分前後のワークを入れました。

社内セミナーの効果はどう確かめればよいですか?

終了直後のアンケートで反応と理解を確かめ、その後の業務や1on1で行動の変化を振り返る方法があります。中長期では、社員アンケートやエンゲージメント調査で理念への理解や共感の変化を定点で確認します。

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