この記事でわかること
  • インナーブランディング研修で「知っている」を「行動している」に変えるための目的設定の考え方
  • 経営層・管理職・一般社員・新入社員/中途入社者ごとの研修内容の違い
  • カリキュラム例と、集合・オンライン・eラーニングなど形式の選び方
  • 研修後のフォロー施策と、カークパトリックの4段階評価モデルを使った効果測定
  • 研修を内製するか外部に委託するかの判断ポイント

理念やビジョンを社員に浸透させたいと考えたとき、多くの企業がまず検討するのが研修です。ところが「全社員向けに理念研修を実施したが、翌月には誰も話題にしていない」「アンケートの満足度は高かったのに、現場の動き方は変わらない」という声もよく聞かれます。研修そのものが悪いわけではなく、研修を単発のイベントとして扱い、その前後の設計が抜けていることが多いのだと思います。

インナーブランディング研修のゴールは、理念を暗記してもらうことではありません。自社が大切にしている価値観を、社員一人ひとりが自分の仕事の判断や行動に結びつけられる状態をつくることです。そのためには、誰に、何を、どの順番で、どの形式で伝え、研修後にどう定着させ、どう効果を確かめるかを一つのプログラムとして組み立てる必要があります。

この記事では、インナーブランディングを担当する人事・広報・経営企画の方に向けて、従業員の行動変容につながる研修プログラムの作り方を、目的設定から対象者別の設計、カリキュラム例、形式の選び方、フォローと定着、効果測定、内製と外部委託の判断まで順を追って整理します。


目次
  1. インナーブランディング研修とは?目的と他の施策との違い
    1. 研修が担う役割
    2. 「理念研修」と「インナーブランディング研修」の違い
  2. 研修プログラムを作る前に決める目的と行動目標
    1. 組織として解決したい課題を言語化する
    2. 「望ましい行動」を観察できる形で定義する
  3. 対象者別に設計する研修プログラムの内容
    1. 経営層:最初に巻き込む
    2. 管理職:理念を現場に翻訳する役割
    3. 一般社員:自分ごと化と行動宣言
    4. 新入社員・中途入社者:入社直後の時期に組み込む
  4. インナーブランディング研修のカリキュラム例
    1. 半日(3〜4時間)で実施する場合の例
    2. 複数回に分けて実施する場合の例
    3. カリキュラムを組むときの注意点
  5. 研修形式の選び方:集合・オンライン・eラーニング
    1. 講義型と参加型のバランス
  6. 研修後のフォローと行動を定着させる仕組み
    1. 研修後に用意したいフォロー施策
    2. 職場の環境を整える
    3. 研修を年間計画の中に位置づける
  7. カークパトリックの4段階評価モデルで効果を測る
    1. 評価を設計するときのポイント
    2. インナーブランディング研修での測定の工夫
  8. 研修を内製するか外部に委託するかの判断ポイント
    1. 組み合わせ方の例
    2. 研修を含めたインナーブランディングの進め方を相談したい方へ
  9. まとめ
  10. よくある質問
    1. インナーブランディング研修はどの階層から始めるべきですか?
    2. 研修の時間はどのくらい確保すればよいですか?
    3. オンラインでもインナーブランディング研修は実施できますか?
    4. 研修の効果はどのように測ればよいですか?
    5. 研修を実施しても現場の行動が変わらないのはなぜですか?
  11. 関連記事
  12. 参考情報

インナーブランディング研修とは?目的と他の施策との違い

インナーブランディング研修は、理念を社員の具体的な行動に落とし込む教育施策で、対話と実践の場をつくる点が特徴です。

インナーブランディングとは、企業が大切にする理念・ビジョン・価値観を社内に浸透させ、社員がそれに共感し、自発的に体現できる状態をめざす取り組みです。施策には社内報、クレドカード、表彰制度、社内イベント、1on1など多くの種類がありますが、その中で研修は「まとまった時間をとって、理解を深め、自分ごと化するための場」という役割を担います。

研修が担う役割

社内報やポスターは繰り返し目に触れることで認知を高めるのに向いていますが、一方向の情報提供になりがちです。研修では、理念が生まれた背景を経営者や先輩社員から直接聞いたり、自分の業務に当てはめて考えたり、他部署のメンバーと意見を交わしたりできます。「理念は知っているが、自分の仕事とどう関係するのかわからない」という状態を解消できるのが、研修ならではの強みです。

「理念研修」と「インナーブランディング研修」の違い

理念の内容を説明する講義だけで終わる研修は、理解(知識)の段階で止まりやすくなります。インナーブランディング研修として設計する場合は、「理念を自社のブランドとして顧客や同僚にどう体現するか」まで扱い、研修の終わりに一人ひとりが具体的な行動を決めるところまで進めるのが一般的です。研修のゴールを「理解」ではなく「行動」に置くことが、プログラム全体の設計を左右します。

インナーブランディング全体の考え方については、インナーブランディングとは?定義・目的・効果を初心者向けに徹底解説もあわせてご覧ください。

太田高寛

研修は施策の中でもコストと時間がかかる分、「やったこと」自体に満足してしまいやすいと感じています。研修の前後に社内報や1on1など他の施策をどう組み合わせるかまで考えておくと、研修の位置づけがはっきりすると思います。

研修プログラムを作る前に決める目的と行動目標

最初に決めるべきは研修の内容ではなく、研修の結果として組織と社員の行動がどう変わっていてほしいかという到達点です。

目的があいまいなまま内容を決めると、終わった後に効果を確かめる基準もなくなります。後述するカークパトリックモデルを運営するKirkpatrick Partnersも、評価の計画は最終的な成果(レベル4)から始め、そのプログラムが組織にとってなぜ重要なのかを問うことを勧めています。

組織として解決したい課題を言語化する

まず、研修を企画するきっかけになった課題を具体的にします。たとえば次のようなものです。

  • 部署ごとに顧客への対応方針がばらばらで、ブランドとしての一貫性がない
  • 営業部門とマーケティング部門の連携が弱く、せっかくの引き合いが成約につながらない
  • リブランディングで新しいビジョンを掲げたが、現場では言葉だけが先行している
  • 中途入社者が増え、創業時からの価値観が共有されにくくなっている

課題が明確になると、研修で解決できることと、制度や業務プロセスを変えなければ解決しないことを切り分けやすくなります。

「望ましい行動」を観察できる形で定義する

次に、理念や価値観を体現している社員が、日々どんな行動をとっているかを書き出します。「お客様第一を意識する」のような抽象的な表現ではなく、「商談後に顧客の課題を社内共有シートに記録する」「他部署から相談を受けたら当日中に一次回答する」のように、第三者が見て「できている・できていない」を判断できる粒度にするのがポイントです。

設計の要素決める内容例
組織の到達点研修を通じて組織で起きてほしい変化部門間の情報共有が増え、顧客対応の品質がそろう
望ましい行動社員が現場でとってほしい具体的な行動案件の背景や顧客の声を他部署と共有する
必要な理解・スキルその行動のために研修で身につけること理念の背景、自部署の役割、共有の方法
研修の体験受講者にどう感じてもらいたいか自分の仕事と理念がつながっていると実感する

この表を上から順に埋めてから、研修のカリキュラムに進むと、内容の取捨選択がしやすくなります。進め方の全体像はインナーブランディングの進め方ロードマップ:企画、設計、実行、評価の7ステップで整理しています。

太田高寛

「望ましい行動」を書き出す作業は、研修の企画担当者だけでなく、現場の管理職にも加わってもらうのがよいと思います。現場の言葉で行動を定義しておくと、研修後に上司がフォローするときにも話がかみ合いやすくなると感じています。

対象者別に設計する研修プログラムの内容

経営層・管理職・一般社員・新入社員や中途入社者では役割が異なるため、研修の目的と内容を分けて設計します。

立場によって理念の扱い方は違います。経営層は理念を語り、管理職は現場に翻訳し、一般社員は日々の業務で体現します。対象者ごとの役割を踏まえて、研修の重心を変えるのが基本です。

対象者研修のねらい主な内容研修後に期待する行動
経営層・役員理念を自分の言葉で語れるようにし、発信の一貫性をそろえる理念の再確認、経営判断との整合性の点検、メッセージの発信方法社内外の場で理念に触れて話す/経営判断の理由を理念と結びつけて説明する
管理職理念を部署の目標や日々の業務に翻訳し、部下の行動を支援できるようにする理念と部署方針のつなげ方、部下との対話の進め方、行動の承認とフィードバック定例会議や1on1で理念に沿った行動を取り上げる
一般社員理念を自分の仕事の判断基準として使えるようにする理念の背景、自分の業務への当てはめ、部署を越えた意見交換研修で決めた行動を実践し、振り返る
新入社員・中途入社者自社が何を大切にしている会社なのかを早い段階で理解する創業の経緯や理念の成り立ち、先輩社員の体験談、行動指針の具体例日々の業務で迷ったときに行動指針を参照する

経営層:最初に巻き込む

よくあるつまずきが、一般社員だけを研修の対象にする形です。職場に戻って経営層や上司の言動が理念と食い違っていれば、社員は研修の内容を信用しにくくなります。経営層向けには、研修というよりも理念の解釈をそろえ、社員へのメッセージを準備する場として設けるのが現実的です。

管理職:理念を現場に翻訳する役割

研修後に職場で接する直属の上司は、行動変容に大きく影響します。管理職研修では、部署目標との結びつけ方や、部下の行動を承認・フィードバックする方法を扱い、部下が研修から戻ったときにどう声をかけるかまで準備しておきます。

一般社員:自分ごと化と行動宣言

一般社員向けでは、自分の業務に照らして考える時間を十分にとります。理念に沿っていたと思う行動や、迷った場面での判断を話し合い、最後に研修後に取り組む行動を一人ひとりが決めます。部署を混ぜたグループにすると、縦割りの解消にもつながります。

新入社員・中途入社者:入社直後の時期に組み込む

入社後の早い時期に、オンボーディングの一部として組み込むのが一般的です。中途入社者は前職の価値観を持っているため、「この会社ではなぜこう判断するのか」を具体例で伝えると理解が進みます。数か月後に振り返りの機会を設けることも検討してください。

太田高寛

研修の順番は、経営層、管理職、一般社員の順にするのが望ましいと考えています。上の層から先に理念の解釈をそろえておくと、一般社員の研修で出てきた疑問や意見を、管理職が受け止められる状態をつくれるからです。

インナーブランディング研修のカリキュラム例

カリキュラムは「知る→考える→決める」の流れで組み、研修の最後に必ず自分の行動を決める時間を入れるのが基本形です。

ここでは、一般社員を対象にした研修のカリキュラム例を紹介します。実際には、課題や対象者、確保できる時間に合わせて調整してください。

半日(3〜4時間)で実施する場合の例

パート内容ねらい
導入研修の目的と、終了時に持ち帰ってほしいものの共有受講の目的意識をそろえる
知る経営層または推進担当から、理念が生まれた背景とこれからめざす姿を説明理念を「決まりごと」ではなく「理由のある考え方」として理解する
考える①理念を体現していると思う社内の行動エピソードをグループで共有理念を具体的な行動のイメージに変換する
考える②自分の業務で判断に迷う場面を出し合い、理念に照らしてどう考えるかを議論理念を判断基準として使う練習をする
決める研修後1か月で取り組む行動を一人ひとりが決め、グループ内で共有研修の学びを職場での行動につなげる
まとめ研修後のフォローの予定(振り返りの時期や方法)の案内研修が一回で終わらないことを伝える

複数回に分けて実施する場合の例

時間を確保しやすい場合や、行動の定着を重視する場合は、数週間から数か月の間隔をあけて複数回に分ける方法もあります。間隔をあけることで、研修で決めた行動を実際に試し、その結果を持ち寄って振り返ることができます。

たとえば第1回で理解と行動決め、数週間の実践期間を挟んで第2回で振り返りと行動の見直し、さらに実践を経て第3回で部署として続けたい行動を整理する、という3回構成が考えられます。

カリキュラムを組むときの注意点

  • 講義の時間を詰め込みすぎず、受講者が話し、考える時間を全体の半分程度は確保する
  • 理念の説明は抽象論で終わらせず、社内の実際のエピソードを用いる(社内の事例は事前に集めておく)
  • 「正解を当てる」雰囲気にならないよう、理念に対する疑問や違和感も言える場にする
  • 研修の終わりに決める行動は、小さく、期間を区切ったものにする
太田高寛

理念について「正直よくわからない」「現場の実態と合っていない」という声が出ることを、ネガティブに捉えなくてよいと思っています。そうした声が出るのは、受講者が真剣に自分の仕事と照らし合わせている証拠でもあり、運営側にとっても大切な情報になると感じています。

研修形式の選び方:集合・オンライン・eラーニング

研修形式は、扱う内容が「知識の伝達」か「対話と気づき」かによって選び、必要に応じて複数の形式を組み合わせます。

拠点の分散やシフト勤務など、自社の事情も踏まえて選びましょう。

形式向いている内容留意点
集合研修(対面)対話やグループワーク、部署を越えた交流、経営層との直接の対話日程調整や会場・移動の負担がある。全員の参加が難しい場合は複数回に分ける
オンライン研修(ライブ)拠点が分散している場合の対話型研修、短時間の振り返り会画面越しでは発言が少なくなりやすい。少人数のグループに分ける工夫が必要
eラーニング・動画理念の背景や経営メッセージなど、全員に同じ内容を届けたい知識部分一方向になりやすく、行動変容までは期待しにくい。対話の場と組み合わせる
ハイブリッド(組み合わせ)事前に動画で知識を学び、集合・オンラインで対話に集中する事前学習の受講状況を確認する仕組みが必要

講義型と参加型のバランス

インナーブランディング研修の目的が行動変容にある以上、講義だけで構成するのはおすすめしにくいです。一方で、理念の背景や経営の考えをしっかり伝える講義パートがないと、対話の材料が不足します。知識として伝えるべき部分は事前の動画や資料に任せ、集まる時間は対話と行動を決めることに使う、という分担が考えやすい形です。

太田高寛

オンラインか対面かという形式の議論になりがちですが、私は「受講者が自分の言葉で話す時間がどれだけあるか」を基準に考えるのがよいと思っています。形式はその時間を確保するための手段として選ぶと、判断がぶれにくいと感じています。

研修後のフォローと行動を定着させる仕組み

研修で決めた行動が続くかどうかは、研修後の上司の関わりと、行動を確認できる仕組みの有無で大きく変わります。

研修直後は意欲が高くても、日々の業務に戻ると研修の内容は少しずつ薄れていきます。研修プログラムの設計には、研修当日だけでなく、その後の数か月をどう過ごすかを含めておく必要があります。Kirkpatrick Partnersも、行動(レベル3)の段階では、上司による確認や観察、業務に役立つツール、評価や報酬といった支援と働きかけの仕組みを例として挙げています。

研修後に用意したいフォロー施策

時期フォロー施策担い手
研修直後〜1週間研修で決めた行動を上司と共有し、取り組み方をすり合わせる管理職
1か月程度1on1や定例会議で行動の実践状況を確認し、うまくいった点を承認する管理職
1〜3か月フォローアップの振り返り会(オンラインでも可)で、実践例と課題を共有する推進担当・研修講師
継続的に社内報やイントラで理念に沿った行動の実例を紹介する広報・推進担当
評価・表彰の時期理念に沿った行動を表彰や評価の観点に反映する人事・経営層

職場の環境を整える

研修で「部門間で情報を共有しよう」と決めても、共有する場やツールがなかったり、評価が個人の売上だけで決まっていたりすれば、行動は続きません。フォロー面談などで行動を妨げているものを集め、制度や業務プロセスの見直しにつなげることも推進担当の役割です。

研修を年間計画の中に位置づける

研修を単発で終わらせないために、年間のインナーブランディング計画の中に位置づけ、経営層のメッセージ発信や表彰など他の施策と時期を合わせて組み立てます。研修以外の施策の選び方はインナーブランディング施策15選:理念浸透・コミュニケーション活性化の手法と選び方を参考にしてください。

太田高寛

研修後のフォローは、新しい仕組みを足すよりも、すでにある1on1や定例会議の中に「研修で決めた行動の確認」を一つ加えるくらいの方が続きやすいと考えています。現場の負担を増やしすぎないことも、定着には欠かせない視点だと思います。

カークパトリックの4段階評価モデルで効果を測る

研修の効果は満足度だけでなく、学習・行動・成果の段階に分けて測ると、どこで止まっているかがわかり改善に生かせます。

研修評価の枠組みとして広く知られているのが、カークパトリックの4段階評価モデルです。研修の効果を「反応」「学習」「行動」「成果」の4つのレベルで捉えます。Kirkpatrick Partnersの公式サイトでは、各レベルを次のように説明しています。

レベル公式サイトでの定義(要約)インナーブランディング研修での測定例
レベル1:反応対象者がその研修を好意的に受け止め、関心を持って参加し、自分の業務に関連すると感じた度合い研修直後のアンケートで「自分の仕事に関係がある」と感じたかを聞く
レベル2:学習意図した知識・スキル・態度・自信・コミットメントを習得した度合い理念の背景を自分の言葉で説明できるか、決めた行動に取り組む自信があるか
レベル3:行動職場で重要な行動を実践している度合い研修で決めた行動の実践状況を、本人の振り返りと上司の観察で確認する
レベル4:成果組織として目標とした成果が生まれた度合いエンゲージメントサーベイの理念共感に関する項目、部門間連携に関する指標などの推移

評価を設計するときのポイント

同サイトでは、いくつかの実践的な考え方も示されています。インナーブランディング研修に当てはめると、次のように整理できます。

  • 計画はレベル4から考える:研修を企画する段階で、組織としてどんな成果を期待するかを決め、そこから逆算して行動・学習・反応の目標を置く
  • レベル1では「関連性」を重視する:満足度や楽しさよりも、受講者が自分の仕事に関係があると感じたかの方が、行動につながるかどうかを示す手がかりになるとされている
  • レベル2では自信とコミットメントも見る:知識だけでなく、「やってみようと思うか」「できそうだと感じるか」が、職場での行動を予測する手がかりになるとされている
  • レベル3の測定は遅らせすぎない:研修から長く時間がたってから初めて確認すると、軌道修正の機会を逃してしまうため、早い段階から状況を確認する
  • レベル4は既存の指標を活用する:成果の指標は財務・非財務のどちらでもよく、社内ですでに追っている指標を使えることも多い

インナーブランディング研修での測定の工夫

インナーブランディングの成果はすぐに数字に表れにくく、研修だけの効果を切り分けるのも簡単ではありません。そのため、レベル1〜3の結果をあわせて見ることが現実的です。たとえば「反応は良いが行動が続いていない」のであれば、研修の内容よりも研修後のフォローや職場環境に課題がある可能性が高いと考えられます。

エンゲージメントサーベイを定期的に実施している企業であれば、理念への共感や部門間の協力に関する設問の推移を、レベル4の指標の一つとして使えます。サーベイツールの選び方はエンゲージメントサーベイツールおすすめ10選!TUNAGのサーベイ機能の強みとは?で紹介しています。

太田高寛

効果測定は、研修を評価するためというより、次の打ち手を決めるための材料だと捉えるのがよいと思います。どのレベルで止まっているのかがわかれば、研修を作り直すべきか、フォローを厚くすべきかの判断がしやすくなると感じています。

研修を内製するか外部に委託するかの判断ポイント

内製と外部委託は二者択一ではなく、自社で担うべき部分と外部の知見を借りる部分を切り分けて組み合わせるのが現実的です。

インナーブランディング研修は、自社の理念や歴史、現場のエピソードを扱うため、社内の人が語ることに大きな意味があります。一方で、研修の設計や進行、効果測定には専門的なノウハウも求められます。それぞれの特徴を整理しておきましょう。

観点内製外部委託
自社らしさ社内の言葉や事例で語れ、理念の背景をリアルに伝えやすい一般的なプログラムのままだと自社の実情から離れやすい
客観性社内の常識や力関係にとらわれやすい第三者の視点で課題を指摘し、受講者も本音を出しやすい場合がある
設計・進行のノウハウ経験が少ないと、講義中心になったり時間配分がうまくいかなかったりする研修設計やファシリテーションの経験を活用できる
費用・工数外部費用は抑えられるが、担当者の準備工数がかかる外部費用がかかるが、社内の準備負担を減らせる
継続性ノウハウが社内に蓄積され、繰り返し実施しやすい委託先に依存すると、社内にノウハウが残りにくい

組み合わせ方の例

  • 理念の背景を語るパートは経営層や社内の推進担当が担い、全体設計や対話の進行を外部に依頼する
  • 初回は外部の支援を受けながら一緒に設計し、2回目以降は社内で実施できるようにノウハウを移す
  • 研修自体は社内で実施し、課題の診断や効果測定の設計、研修後のフォロー体制づくりについて外部の助言を受ける

TSRコンサルティングのインナーブランディング支援では、研修メニューの提供ではなく、社内だけでは客観視しにくい組織課題をインナーブランディングの観点から整理し、原因の特定と仮説の設定を支援したうえで、適切な社員教育や社内コミュニケーションのためのコンサルティングを行っています。プランニングから実行オペレーションまで助言し、自社で推進できるようになるまで伴走する形です。

太田高寛

研修を外部に任せるかどうかよりも、研修の前後を誰が責任を持って設計するかが大事だと考えています。社内に推進担当がいて、外部の知見はその人を支える形で使うと、研修が終わった後も取り組みが続きやすいと思います。

研修を含めたインナーブランディングの進め方を相談したい方へ

TSRコンサルティングでは、社員の意思統一や部門間の連携といった組織課題をインナーブランディングの観点から診断し、社員教育や社内コミュニケーションの進め方について、プランニングから実行まで助言・伴走します。相談から実務支援、内部に入っての課題抽出まで対応しており、料金は月5万円(税抜)からです。「研修を企画したいが、何から決めればよいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

まとめ

  • インナーブランディング研修のゴールは理念の理解ではなく行動変容。研修の前に、組織の到達点と「望ましい行動」を観察できる形で定義する
  • 経営層・管理職・一般社員・新入社員/中途入社者で役割が異なるため、研修の目的と内容を分け、上の層から順に実施する
  • 形式は「知識の伝達」と「対話と気づき」で使い分け、研修後は上司の関わりや既存の会議体を活用してフォローする
  • カークパトリックの4段階評価モデルでレベル4から逆算して設計し、どの段階で止まっているかを見て改善する

よくある質問

インナーブランディング研修はどの階層から始めるべきですか?

経営層、管理職、一般社員の順に進めるのが望ましいと考えます。上の層が理念の解釈をそろえ、部下の行動を支援できる状態をつくってから一般社員の研修を行うと、研修後に職場で行動が続きやすくなります。

研修の時間はどのくらい確保すればよいですか?

目的によって異なりますが、理念の理解から行動を決めるところまで扱うなら、半日程度は確保したいところです。行動の定着を重視する場合は、間隔をあけて複数回に分け、実践と振り返りを挟む構成も検討してください。

オンラインでもインナーブランディング研修は実施できますか?

実施できます。ただし画面越しでは発言が少なくなりやすいため、少人数のグループに分ける、知識部分は事前の動画で学んでもらうなど、対話の時間を確保する工夫が必要です。対面と組み合わせる方法もあります。

研修の効果はどのように測ればよいですか?

カークパトリックの4段階評価モデルを使い、反応・学習・行動・成果に分けて測る方法があります。満足度だけでなく、自分の仕事との関連性、行動の実践状況、サーベイ指標の推移などを組み合わせて確認します。

研修を実施しても現場の行動が変わらないのはなぜですか?

研修後のフォローがない、上司が研修内容を把握していない、評価制度や業務の進め方が理念と合っていないなどが考えられます。研修単体ではなく、研修前後の仕組みや職場環境まで含めて見直すことが大切です。

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